試合レポート

【春季東京大会一次予選】リリーフ・神谷の投打の活躍で錦城学園がタイブレークの熱戦を制し都大会に進出

2024.03.21


錦城学園・神谷晃誠

<春季東京都高校野球1次予選:錦城学園7-6都立狛江(延長10回タイブレーク>◇20日◇代表決定戦◇八王子高校

私立と都立の力のあるチーム同士の対決は、序盤は都立狛江が押し気味であったが、錦城学園が踏ん張り、思わぬヒーローが登場して、錦城学園がタイブレークの熱戦を制した。

試合は2回無死一、三塁から6番・佐藤 佑樹(2年)が左前安打を放ち、都立狛江がまず1点を先制する。さらに7番・宮本 瑛太外野手(3年)の犠打に続き、8番・山本 新太捕手(2年)がスクイズを決め、都立狛江がさらに1点を追加する。

錦城学園も3回、3番・田嶋 凛々人外野手(2年)の右前適時打で1点を返す。しかし、その裏、都立狛江は2番・鹿島 佑太外野手(3年)の二塁打などで1点を入れて突き放す。

都立狛江の先発、左腕の三竿 知朗投手(3年)は昨年の夏も投げ、経験は豊富だが、4回に突然乱れる。錦城学園は2つの四球と安打1本で1死満塁とし、暴投で1点を返す。さらに9番・前田 凌の死球で満塁となり、2番・横田 香樹の中前安打で三塁走者が還り、同点に追いついたが、二塁走者も本塁を突いたもののアウトになり、同点止まりであった。

それでも都立狛江が先行して優位な展開であったが、錦城学園も同点に追いつき、流れは錦城学園に傾きつつあった。しかし、錦城学園の先発、エースの左腕・大山 大河投手の調子がいまひとつ。4回、7番・宮本の中前安打に続き、8番・山本の二塁打、さらに9番・吉岡 遼介内野手(2年)には四球で無死満塁となり、1番・中澤 和哉内野手(2年)の初球がボールになったところで、錦城学園はエースの大山に代えて2年生の神谷 晃誠投手が登板する。「ピッチャーとしては4番手か、5番手です。でもコントロールが悪くないので」と錦城学園の玉木信雄監督は言う。

中澤は神谷から中前安打を打ち、都立狛江が1点を勝ち越すが、本塁を狙った二塁走者は本塁で刺され1点止まり。結果として、このアウトが大きかった。錦城学園はやっと同点に追いついたと思ったら、またリードされ、そのリードが2点に広がれば、ダメージは大きかった。都立狛江としては、突き放すチャンスに突き放せなかったことが響いた。

神谷はその後、テンポのいい投球で都立狛江打線を抑える。すると錦城学園は6回に2死三塁から1番・中嶋 元太が三塁打を放って同点に追いつく。同点になった後は、都立狛江の三竿、錦城学園の神谷が得点を許さず、試合は延長タイブレークに突入した。

玉木監督が、「先攻は3点取らなければ」と言った10回表、錦城学園は1死満塁から6番・中野 弘大が四球で1点を勝ち越した。しかし無死一、二塁から始まるタイブレークで先攻が1点だけだと裏の守りが厳しくなる。2死になった後、好投している7番・神谷が左前安打を放ち、2人が生還した。投球に関しては「緊張しました」と言う神谷だが、10回に安打を打った時は、「頭が真っ白になりました」と語る。この神谷の2点適時打が大きかった。

10回裏、都立狛江は1死一、三塁から5番・小泉 凛太郎内野手(2年)の左犠飛で1点を返す。さらに代打・赤石 圭駿の中前安打でさらに1点を返して1点差になったが、都立狛江の反撃もここまでだった。

試合開始のころは春の晴天であったが、試合の終盤で急に曇りだし、試合終了とともに雨が降り出した。「追いついても突き放される苦しい展開でした」と語る錦城学園の玉木監督は、疲れた様子だった。それでも神谷のラッキーボーイ的な活躍もあり、勝って都大会に出場できたことは大きい。

一方敗れた都立狛江のエース・三竿は、崩れるイニングはあったものの、昨年より体も大きくなり、球威も増してきた。「冬よく頑張り、大きくなりました」と都立狛江の西村昌弘監督は言う。秋も春も都大会出場を逃した都立狛江だが、今後に期待が持てる戦いであった。

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この記事の執筆者: 大島 裕史

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