LINEの返信は『ウッス!』、ミーティング中に上の空……高校時代の恩師が語る「紅林弘太郎はオリックスだからこそ活躍できた」
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紅林弘太郎(オリックス)
LINEの返信は「ウッス!」
ーーそれでも紅林選手はチームにしっかり溶け込んでいますよね。
望月監督 許容してくれているんだと思いますよ。強豪校でやってきた先輩選手は「こいつなめているな」と思っていると思います。
ーー大人になって、変わってきた部分はあるんじゃないですか。
望月監督 いやいや。私のLINEとのやり取りでは、若者らしく、簡単なやり取りですね。たとえば、「頑張れよ!」とエールのコメントを送ると、彼からの返信は「ウッス!」なんです(笑)。3月には侍ジャパンのトップチームに選ばれて、その試合後に「楽しかったか?」と聞くと「楽しかったです」とか。それ以外も素っ気ない返信ばかりです。恩師という感覚は彼にはないですね!(笑)
それが受け入れてもらえる人にはいいんだろうけど、「おいおいちょっとそれは違うぜ」という考えの方も当然いると思います。だけれど僕は指導者と選手のやり取りまでも型にはめるつもりはないですね。
ーーこの指導にしたきっかけを教えてください。
望月監督 現役時代は厳しい高校(静岡商)、大学(専修大)でやってきました。指導者になって、20代から30代のころは「野球はこうでなければならない」という思いがあって指導をしてきましたが、結果が出なかった。指導をしていて、子どもたちは自分の教えを信じてくれているんだけど、顔つきを見ると楽しそうじゃないというのが見えてきたので、「型にはめることがいいことではない」と思い始めました。
例えば打撃について10人いれば、それぞれ体の使い方、筋肉の付き方とすべて違いますので、その子なりにしっかりとバットが振れる形を見つければいいと思っています。画一的な指導だと良いものを殺してしまう可能性が高いですからね。
ーー選手の観察も大事になりますね。
望月監督 そうですね。指導はしますけど、モノにできるかは選手次第です。僕の考えがすべてではないと思っているので。打撃の理論は何万通りあるので、自分が良かれと思ったものを取り入れて欲しい。駄目だったら変化させていけばいいと思いますね。
ーーありがとうございます。最後に紅林選手に改めてエールをお願いします。
望月監督 プロは本人の努力次第で変わる世界。怪我が少ないのが彼の長所ですが、長くやっていれば、体を痛める時期がきます。しっかりとケアをしながら、長く野球をやってほしい思いですね。
紅林はオフになると、母校に帰って1日だけ自主トレを行う。これは望月監督の進言だ。
「1年目のオフはスーツを着て挨拶だけしにきたんです。それはもったいないと思って。本人には『OB選手の母校での練習参加は届け出を提出すれば可能。後輩たちはあなたのプレー姿を見て学びたいのだから、1日でもいいから練習出来る服装で着て欲しい』とお願いをしたら、きてくれるようになりました」
望月監督はオリックスへの感謝の言葉をたびたび口にした。しかし、駿河総合の3年間が紅林弘太郎の原点。それは間違いない。
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