トップレベルの指導者が伝える”捕球の基本”は「まず打球のバウンドに合わせること」【GW特別企画・一流選手の技術を学ぼう①】
大野 正義コーチ
今季から導入された新基準バットが高校野球界に大きな影響を与えている。打球速度、飛距離が落ち、センバツでの本塁打は3本のみに終わった。
打球が遅くなったことで、重要さを増したのが、内野守備だ。センバツ出場校の中で守備力No.1と呼ばれた報徳学園は、準優勝。5試合でわずか2失策だった。
夏に向けて強化したい内野守備。まずは守備練習に対する考え方を変えることで、ライバルに差をつけたい。
そこで、昨年、享栄(愛知)瀬戸グラウンドで行われた、西濃運輸の大野 正義ヘッドコーチが行った守備レッスンを紹介しよう。これは昭和58年(1983年)生まれの指導者たちによる『高校野球指導者58年会主催指導者講習会』で行われた講義だ。
大野コーチは現役時代、守備の名手として活躍し、2014年に都市対抗優勝を経験。2017年から同野球部のコーチとなり、2021年12月にはヘッドコーチに就任した。中日・龍空内野手は近江高校時代、西濃運輸の練習に参加し、大野コーチから守備を教わって技術を高めたという。
バウンドをうまく合わせるための練習、捕り方を!
享栄の選手たちが捕球練習を一通りすると、大野コーチは動きを止めて、マイクで話しはじめた。
「選手のみんなは良い姿勢で入ることができています。だけどノックをやってみると、慌てて捕球ができない。守備でこだわるところは捕球姿勢などいろいろあるのですが、一番はバウンドが合わせること。これができないと話になりません。
例えば基本練習では良い形で捕れるけれど、ノックになったら足が揃って変な捕球姿勢になったり、グラブを捕りにくいところに置いたりしている。そうなると周りから『もう一歩前に出られる』などと言われると思います。選手はどうしていいか分からない。一番の原因はバウンドにそもそも合っていないからだと思います。一番窮屈で捕りにくいところに自分から行っている。まずバウンドを合わせることを重要視すること。バウンドを合わせる能力が身につけば、小学校時代から教わっている捕球姿勢で捕ることができます」
バウンドを合わせることだけではなく、捕球姿勢についても言及した。
「一発で正しいポジションに入ることが必要です。皆さんも僕も、昔からどれだけ股割りして、足を広げる形で捕球するかを教わったと思います。実際にやってみると、それは非常に窮屈でしかない。しんどいですよね。指導者はそのしんどい形が良いと思っている。体勢を低く!といいますが、スムーズさが生まれません。
一番大事なのはお尻のほうに負荷をかけて落とすイメージ。手が地面につけばそれでいいので、股を割る必要はなくて、楽な姿勢でいい。体の使い方としては一番良いです。めちゃくちゃ下に落とす必要もなければ、股を割る必要もない。お尻を下げて負荷をかける形がいいです」
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