試合レポート

【春季新潟県大会】プロ注目右腕・茨木佑太が完封!元プロの芝草監督は素材、メンタル面も絶賛!

2024.05.12


茨木 佑太(帝京長岡)

<春季新潟県高校野球大会:帝京長岡2-0関根学園>◇11日◇準決勝◇長岡市悠久山

昨秋は2位校として北信越大会に出場した帝京長岡は、髙岡第一に完封勝ちして初戦突破を果たし、茨木 佑太投手(3年)が注目された。この春も準々決勝では加茂暁星に5対0と快勝して、昨秋に引き続いてのベスト4進出である。

関根学園も昨秋は3位校として出場した北信越大会で、富山県1位の高岡商に2対1と競り勝ってベスト8進出を果たした。悲願の甲子園出場へ向けても近年躍進著しいが、この春も新発田中央、上越などを下してのベスト4進出である。着実に階段を上ってきているという印象のチームである。

帝京長岡は注目の茨木投手が先発。2学年上の兄は、阪神の茨木 秀俊投手(帝京長岡出身)である。187センチ、84キロと、兄よりも、サイズとしてはひと回り大きい。それに、昨年冬から今年にかけての成長の度合いは兄以上だと、芝草 宇宙監督も評価している。

その要因としては、「練習の組み立てや取り組み方の1つひとつをすべて常に意識してやってきているので、高校生としては精神的には大人の投手と言っていいでしょう。すべてを理解しながら練習に取り組んでいくので、とても指導しやすい選手ともいえます。兄と比べると、ピッチングとしてはより勝負強いし、コントロールも悪くない。兄の背中を見てきて追いかけながら、1日1日を大事にしながら練習に取り組んでいっている」と、素材力もさることながら、そのメンタル面を高く評価している。日本ハムでプロの世界を経験してきている芝草監督の言葉だけに、説得力があった。

茨木投手はこの日、9回になって最速144キロを計測。スタミナも十分というところも示した。

この日の投球は、3安打で4者連続を含めて14奪三振。与四球は3。三塁を踏ませないという内容で、今大会2度目の完封勝利を挙げた。

投手戦が予想されていただけに、先取点が大きくモノを言うだろうと思われたが、帝京長岡は2回、先頭の5番・有馬 凛空捕手(2年)が右前打を放って、後逸もあって三塁まで進むと、続く福士 樹吹外野手(3年)の遊ゴロで生還。ソツなく先取点を奪った。

このリードで、茨木投手は、さらにギアは上がっていったかもしれない。とはいうものの、ぐいぐい力で押し込んでいくというよりも、8分程度の力でスイスイと投げていっていた。4回に初安打を許したが、2死からでもあり、危なげなかった。

ただ、1点だけではいくらか心細い。追加点が欲しいところだったが、6回に、1死から失策と死球でチャンスを貰うと、5番・有馬が右前打で繋いで満塁。ここで、福士が中犠飛を放って三塁走者をかえす。試合の流れからも、貴重な得点だった。なお、福士は無安打ながら、この試合の2打点をすべて挙げたことになった。

関根学園としては最も惜しまれるのは8回だった。6番からの打順だったが、谷島 優輝外野手(3年)と西戸 航希捕手(3年)が連続して中前打。無死一、二塁で、送って適時打が出れば、という場面でもあったが、二塁走者が捕手からの牽制球で刺されてしまった。さらには、一塁走者の代走も茨木投手が牽制で刺してピンチを逃れた。まさに、2つの牽制で完全に流れを止められたという形になった。

芝草監督は、「バント処理と牽制球の練習はしっかりとやっています。勝てる投手になるためには流れを引き寄せるという意味でも絶対に大事な要素」ということを常に意識しているという。それが、8回の大事な場面で出たということでもある。

高校野球では新興勢力的なイメージの関根学園だが、学校としての歴史は古く、明治時代後期に設立された私立女子技芸専修学校が前身だ。その後、戦後になって男子部北辰高等学校を設け、さらには1978年に高田中央女子と併合する形で現在の関根学園となっている。2014年夏には、新潟大会決勝まで進み、甲子園まであと2人というところで、日本文理に逆転を喫して涙をのんでいる。

この記事の執筆者: 手束 仁

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