試合中に適した補食とは【セルフコンディションニングお役立ち情報】
試合中の補食や飲みものはすみやかにエネルギーとして活用できるものを選択しよう
野球の試合ではその多くが2時間前後かかるものです。その間、さまざまなプレーを行い続けるため、試合前のエネルギー補給はもちろん、試合中にもエネルギー不足にならないように補食などを活用するようにしたいものです。その際、補食の種類や水分補給に用いるドリンク類などを適切に選択すると、より効率よくエネルギーを持続することができます。今回は試合を想定し、どのような補食・水分を選択すればよいかについて考えてみましょう。
消化・吸収時間を考慮する
エネルギー源として摂りたい栄養素としては糖質(炭水化物)がメインとなります。その中でも消化・吸収に時間のかかるものから、より素早くエネルギー源として活用できるものまで、食事や補食の内容に変化をつけることも、試合中に効率よくエネルギー源を確保することにつながります。試合時間から逆算して考える食事(補食)の一例を挙げます。
【試合までの時間】
《3~4時間前》糖質を意識した食事(ご飯、パンなど)
《2~3時間前》おにぎりやうどん、カステラなど糖質を含んだ消化によいもの
《1~2時間前》バナナ、みかんなどの果物、一口サイズのおにぎりなど
《30分前~試合開始後》糖質を含むスポーツドリンク、フルーツジュース、ゼリーなど
試合が近づくにつれて消化・吸収のよいものを選択していくとよいでしょう。試合直前におにぎりなどを食べても特に大きな問題はないのですが、その食べたものがエネルギーとして活用されるまでには数時間かかることを考えると、食べるタイミングとしてはもう少し前の時間帯の方が良さそうだということになります。
糖質の濃度と水分補給
熱中症対策としても水分・塩分補給のための準備は必ず行いましょう。飲みものはカフェインを含まないものがよいとされてきましたが、運動中であればカフェインによる利尿作用は働かないため※1、過度に気にする必要はないでしょう(ただしカフェインを含む飲みものを大量に常飲しすぎると、不眠等カフェインによる体調不良を起こすことがあります)。
一方、飲みものに含まれる糖質の濃度については8%を超えないものを選択した方がよいとされています。多くのスポーツドリンクの糖質濃度が6~8%であり、8%を超える糖質を含む飲みものを摂取すると、胃から小腸への排出スピードが遅くなるといわれています※2。長時間飲みものが胃にとどまってしまうということは、水分補給として口から摂取したものが、吸収されて体内に行き渡るまでに多くの時間を要することを意味します。糖分を含む飲みものは、エネルギー源の確保としても役立ちますが、糖質の濃度が高い場合は水と併用しながら飲むといった対策を取るようにしましょう。
《参考文献》
1)NATA(全米アスレティックトレーナー協会)水分補給における見解
2)NSCA Strength & Conditioning(Volume 26. Number 8)消化・吸収系機能とパフォーマンス
文:西村 典子
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