試合レポート

一条vs郡山

2009.05.16

2009年05月17日　橿原球場

一条vs郡山

2009年春の大会　奈良県春季県大会　決勝

抱き合う一条バッテーリーと最後の打者になった大江

一条が逆転で初優勝を飾る！

　公立校同士の対戦となった決勝は、一条が前半3点のビハインドを跳ね返し、４－３で県3強の一角・郡山を降した。
　小雨がぱらつく天候で始まったこの試合は、途中、雨足が強まるなど、悪コンディションの中で行われたが、両者、ベストパフォーマンスを出せないなか、我慢の展開が続いた。

　先制したのは郡山。1回裏、先頭の廣長が三塁ゴロエラーで出塁、2番・染川四球のあと、一条の先発・片山のけん制悪送球で無死・１、3塁とすると、3番・大杉が左翼前に適時打を放ち、幸先よく先制した。
ところが、このまま大量得点も予感できたこの展開で、郡山打線は追加点を挙げられない。4番・桑原は三振、5番・藤井は遊撃ゴロ併殺打に倒れてしまった。

　よく守った一条ディフェンス陣だが、ここを1点に抑えたことが、この試合を分からなくしたといっても、過言ではない。そこからは一条・片山、郡山・上西による、2年生投手の粘り合いが続いた。双方、ピンチを招くも、得点は与えず、5回裏までは０行進が続いた。

　次に試合が動いたのは6回裏、郡山は1死から5番・藤井が左翼超二塁打で出塁、続く上西が左翼前安打で好機を拡大すると、7番・福岡、8番・村上が連続適時打を放ち2得点。貴重な追加点を奪った。

　しかし、それでも、この日の一条は粘り強かった。その後のピンチを切り抜けると、7回表、反撃開始。先頭の9番・石塚が三遊間を破る。1死後、2番・山根、3番・尾原が連続安打を放ち、1点を返す。4番・阿久が四球で歩くと、5番・矢野が左翼へ犠牲フライを放ち、その差をまた1点差として、食らいついたのだ。

　8回表には、右翼前安打で出塁の中岡を二塁において、9番・石塚が左中間を破る適時二塁打を放った。前半０－３の展開から、同点に追いついたのだ。投げても6回途中から登板の右腕・上仲が郡山打線を封じ込め、流れを引き寄せたのだ。

　こうなると、追いついた一条が勢いに乗る。9回裏を三者凡退で斬ると、10回表、2四球で好機を得ると、この日4安打と好調の2番・山根。２－０と追い込まれながらも、中前安打を放った。これが決勝点となり、一条が頂点に立った。

2番・山根（一条）が5安打、決勝打を放った

　試合を振り返れば、1回裏の郡山の攻撃での1点止まりが尾を引いた形ではあるが、それをさせなかった一条のディフェンス陣、さらには7回から反撃に転じた攻撃陣が、上手くかみ合っての勝利だ。この日の試合では4失策を喫したとはいえ、二次・三次と連鎖的に続くことなく、我慢強かったのがこの試合の勝因だろう。

　一条は春季大会初優勝。昭和46年に甲子園出場するなど一時代を築きかけた時もあったが、このところは上位に進出しながらも、今一つ壁を破ることはできていなかった。この優勝を、どう形に変えることができるか。来週から開催される近畿大会、ことしの夏と、その戦いぶりを注目していたい。

　一方の郡山は、今大会をエース兼4番の大江健太がフル出場できないなかでの戦いぶりだったが、その存在抜きでも戦いぬけることを証明した。
この日は、皮肉にも途中登板の大江が打たれ、最後の打者も彼になったが、今後を考えるうえでは、いい布石になったろう。彼がチームの中にかみ合った時、相乗効果が生まれさらなる成長がみられるはずだ。16年ぶりの優勝は成らなかったが。今後が楽しみである。

　なお、今大会の総評は後日、更新する予定だ。

（文＝氏原英明）

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