試合レポート

神村学園vs樟南二

2012.07.12

後輩たちの財産に

第1シード神村学園が、投打に樟南二を圧倒した。

1回に3番古賀伊織(3年)の三塁打で2点を先制するなど、打者10人、5安打で5点を奪い、主導権を握った。4回には4番柿澤貴裕(3年)の2ランなどで3点を追加。
エース柿澤は散発4安打、三塁を踏ませない力投だった。

「初回の5点がすべてだった」と振り返った樟南二・迫田清仁監督。
2回以降は、4回の3失点を除けば競った勝負ができていただけに、悔やまれる6失点だった。

「調子は悪くなかったけど、神村(学園)が相手で緊張して硬くなっていた」と話した先発の林湧茉(3年)。厳しいコースを突いたつもりでも、ボールにもう一つキレがなく、思い切り振り込んでくる神村学園打線に集中打を浴びた。

ただ、意気消沈しかけたチームを救ったのは捕手・吉田翔耶(3年)の好送球だった。2回、代走の盗塁を「ただ、ただ必死で」投げてタッチアウト。
「あまり盗塁を刺したことがないので、うれしかった」と控えめに喜んだ。5月には肩を故障し、一時はベンチ入りも危ぶまれただけに、大黒柱の活躍がチームの士気を高めた。
林は「あれで緊張が解けた」と感謝する。2回以降は、林らしいボールの勢いとキレが出て、吉田のリードも冴えた。
「内角の直球で詰まらせたり、フライを取れたのが良かった」

4回に3点を失ったが、スコアボードに5つの『0』をつけることができた。
「正直、もっと点をとられるかと思ったけど、予想外の出来」だったのが吉田には誇りだった。

迫田監督は「こういうチームと試合ができて、吸収できたことがいっぱいあった」と振り返る。
自分たちも精一杯の野球をやり切ったし、振りの鋭さやそつのない走塁など、全国を目指すチームの野球も体感できた。そのことが「1、2年生の財産になる」と迫田監督は期待する。

林は「自分たちの春ベスト8以上のベスト4を目指して、今まで以上の練習に取り組んでほしい」と後輩に期待していた。

(文=政純一郎)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.04

「学校と地域に支えられて戦う」県内有数の進学校・磐田南(静岡)、“潔く”戦って最高の夏に【野球部訪問】

2024.07.04

「速さが怖かった」 センバツ4強から学んだ走塁で市立柏が千葉の上位を狙う

2024.07.04

5日に北北海道大会の抽選会!クラーク記念国際と別海が軸、接戦を勝ち抜いたチームにも勢い

2024.07.04

5日に新潟大会が開幕!帝京長岡と日本文理の対戦相手が決まる【2024夏の甲子園】

2024.07.04

5日に富山抽選会!昨年秋覇者・高岡商か、今年春の覇者・富山商か、ノーシード新湊の組み合わせにも注目<夏の甲子園県大会>

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.30

突然の病で右半身が麻痺した「天才野球少年」が迎える最後の夏 あきらめなかった甲子園出場の夢、「代打の一打席でもいいから……」

2024.06.29

北海は道内29連勝なるか、東海大札幌VS札幌日大の強豪対決も、30日に札幌支部で代表決定戦【2024夏の甲子園】

2024.06.29

激戦区・愛知が開幕!ノーシードから4連覇狙う愛工大名電が17得点の圧勝発進、大府、愛知産大三河も初戦を突破【2024夏の甲子園】

2024.06.29

昨秋3位の豊橋中央が登場、享栄破った実力見せる!30日愛知大会【2024夏の甲子園】

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!