神村学園vs樟南二
後輩たちの財産に
第1シード神村学園が、投打に樟南二を圧倒した。
1回に3番古賀伊織(3年)の三塁打で2点を先制するなど、打者10人、5安打で5点を奪い、主導権を握った。4回には4番柿澤貴裕(3年)の2ランなどで3点を追加。
エース柿澤は散発4安打、三塁を踏ませない力投だった。
「初回の5点がすべてだった」と振り返った樟南二・迫田清仁監督。
2回以降は、4回の3失点を除けば競った勝負ができていただけに、悔やまれる6失点だった。
「調子は悪くなかったけど、神村(学園)が相手で緊張して硬くなっていた」と話した先発の林湧茉(3年)。厳しいコースを突いたつもりでも、ボールにもう一つキレがなく、思い切り振り込んでくる神村学園打線に集中打を浴びた。
ただ、意気消沈しかけたチームを救ったのは捕手・吉田翔耶(3年)の好送球だった。2回、代走の盗塁を「ただ、ただ必死で」投げてタッチアウト。
「あまり盗塁を刺したことがないので、うれしかった」と控えめに喜んだ。5月には肩を故障し、一時はベンチ入りも危ぶまれただけに、大黒柱の活躍がチームの士気を高めた。
林は「あれで緊張が解けた」と感謝する。2回以降は、林らしいボールの勢いとキレが出て、吉田のリードも冴えた。
「内角の直球で詰まらせたり、フライを取れたのが良かった」
4回に3点を失ったが、スコアボードに5つの『0』をつけることができた。
「正直、もっと点をとられるかと思ったけど、予想外の出来」だったのが吉田には誇りだった。
迫田監督は「こういうチームと試合ができて、吸収できたことがいっぱいあった」と振り返る。
自分たちも精一杯の野球をやり切ったし、振りの鋭さやそつのない走塁など、全国を目指すチームの野球も体感できた。そのことが「1、2年生の財産になる」と迫田監督は期待する。
林は「自分たちの春ベスト8以上のベスト4を目指して、今まで以上の練習に取り組んでほしい」と後輩に期待していた。
(文=政純一郎)