今治西vs大洲
3番・中西雄大(今治西)
今治西「打倒安樂」ゆえの一大改革
今センバツ、最速152キロのストレートでスタンドを大いに沸かせている済美・安樂智大(2年)。当然ながら彼の出現により地元・愛媛県の高校野球関係者は様々な部分での改革を迫られることになった。「安樂を打たなくては甲子園には行けない」この言葉はいまや彼らの共通項になっている。
ある学校ではスイング量の大幅な増加。ある学校では長打力を増す縦振りスイングの導入。その意識は鉄壁の守備をベースにする今治西にも波及している。
「例年だと守備から入って打つことは最後だが、今年は打つことからやっている。守備は春季大会の後だね」と大野康哉監督も話した通り、冬場の練習では10mを切る位置からの打ち込みを徹底。この試合でも綺麗なフォームから回転のよいストレートと縦スライダーが武器の大洲の好右腕・久保翔磨(2年)に対し、4回は7番・神野靖大(2年)の満塁走者一掃三塁打など打者10人で6安打6得点と、好機に畳み掛ける攻撃ができていた。
守備面では「にしても、ひどい・・・」と大野監督も苦笑いせざるを得なかった2失策、記録に残らない判断ミスなど課題は山積の今治西だが、一大改革に昨夏準決勝・ストレートと変化球の腕の位置を見抜き、破竹の勢いにあった安樂を攻略した執念が合致すれば、夏は済美の対抗馬へ浮上してくるだろう。
(文=寺下友徳)