宮古vs八重山
宮古・新里
沖縄県離島の雄、宮古と八重山。この両者が6年振りに対決。そのときは八重山が2対0で勝利していたが、今回は沖縄宮古に軍配が上がった。
島を代表する者同士、縁とプライドがぶつかり合う
6年前の秋。八重山を率いていたのは現在中部農監督の仲里真澄先生。2013年の夏、八重山をベスト4へと導いたその手腕で、長いこと白星から遠ざかっていた中部農ナインに勝利と野球の楽しさを伝えている。同じく当時沖縄宮古を率いていたのは藤井智先生。
昨年の夏、率いていた西原を初のベスト4へと牽引した藤井先生は、この春から部員が極小の陽明へ異動。野球の面白さを伝え広めようと部員勧誘に精を出している。
6年前の試合で八重山に敗れた沖縄宮古は、その悔しさを翌年の春にぶつける。準決勝で豊見城と対峙した沖縄宮古は、エース松川竜が1失点(自責ゼロ)完投。沖縄宮古初の春大会決勝進出を決めた。
その春沖縄宮古と対決した豊見城で、当時部長を務めていた平良英二先生が、この秋から沖縄宮古の監督を務めているのも不思議な縁だ。島のプライドを受け継ぐ八重山と沖縄宮古の現ナインたちも、序盤から激しくぶつかり合った。
八重山・西表と宮古・新里
八重山は初回、二つの四球を選び一・二塁としたが、動揺を微塵も感じさせない沖縄宮古の新里勇人が三振、ショートフライと後続を斬る。その裏沖縄宮古も一死から沖勇作がセンター前ヒットで出塁。しかし八重山小泉諒氣が次打者をショートゴロに打ち取り併殺を完成させた。
続く2回、八重山は8番小泉諒氣のライト前ヒットと四球で再びチャンスを作る。ここでキーマン西表夢叶が打席へ。高校野球部対抗競技会で優秀な成績を収めた西表夢叶。その高い身体能力を、まずはバットで見せつける。警戒していた新里勇人の外の球を上手く拾いライトを襲う走者一掃のタイムリー三塁打!八重山が2点を先制した。
追う沖縄宮古は3回、一死二塁から2番沖勇作の2打席連続安打で一・三塁。ここで八重山バッテリーに痛恨のワイルドピッチが生まれ1点。さらに四球を出したところで、ナインがベンチへ投手交代の要請。二番手としてマウンドに上がったのは、センターを守っていた西表夢叶だ。その西表夢叶、いきなり迎えた沖縄宮古の4番来間陽斗をゴロに打ち取るがこれを味方がエラー。しかし迎えた新里勇人を三振に斬ると、砂川竜志も連続三振。最小限の失点で切り抜ける見事なマウンド捌き。
両チーム最注目選手である八重山・西表夢叶と沖縄宮古・新里勇作の個人対決に加え、先制し追い付くゲーム展開。見応えある序盤戦の応酬であった。
宮古打線、八重山打線が終盤でも応酬
八重山・西表
沖縄宮古は4回、下位打線で二死二塁とすると1番狩俣新がセンター前への逆転タイムリー。さらに6回、7番島尻恭宇、8番久高に連続の長短打が生まれると相手のエラーで得点。八重山もその後、三振と挟殺プレーで併殺に仕留めるが沖縄宮古は二死一塁から、沖勇作、仲間匠哉、来間陽斗の三連打が飛び出しリードを広げた。
追う立場となった八重山は、ヒットとフィルダースチョイスでチャンスを作ると、スクイズがバントヒットとなり1点。さらに5番大城朝範にもタイムリーが出て4点差を1点差にした。
試合の流れが二転三転するのも、両軍の負けたくない思いが強いから。しかし8回裏、沖縄宮古はこの日4安打目となる沖勇作のタイムリーで粘る八重山にダメージを与えると来間陽斗、新里勇人の連続長短打でダメ押し。沖縄宮古が12安打、八重山も11安打を放つほぼ互角のゲーム展開。願わくば、もう少し上の山で見たかったと思う関係者も多いであろう両軍の戦いであった。
(文=當山雅通)