高松南vs香川高専高松
高松南・古市 尊・強肩+α武器に「真なる」ドラフト候補へ
NPB4球団スカウトが見守る中で二塁送球1秒8台の強肩と3打数2安打2得点と活躍した古市 尊(高松南3年・1番・捕手)
昨秋、拙稿「四国発」で紹介させて頂いてからはや10ヶ月。現在、古市 尊(高松南3年・捕手・右投右打・177センチ68キロ・かがわ中央リトルシニア出身)は二塁送球1秒72の強肩を認められ、この香川高専高松戦でも4球団5名のスカウトが視察する「ドラフト候補」にまで浮上した。
ただ、そんな古市が昨秋同様リードオフマンを張る高松南の初戦は厳しい展開を強いられる。初回に香川高専高松3番・美馬 琢人(3年・一塁手・右投左打・173センチ62キロ・さぬき市立長尾中出身)に「1・2・3」のタイミングでストレートを振り切られ、ライトスタンドへの大会1号を許すと、5回表にも3四球に失策が絡み2失点。古市も毎回の二塁送球は安定して2秒切り。かつ高校通算10本塁打まで増やしたミート力を活かし、1番としては3打席目まで2安打1盗塁1得点と仕事は果たしていた半面、リード面では苦心を強いられた。
そんな古市に見せ場が訪れたのは2対3で迎えた7回裏。無死一塁から四球でチャンスを拡大し、迎えた二死・二・三塁から4番・亀山 拓洋(3年・中堅手・右投右打・180センチ77キロ・綾川町立綾上中出身)の一・二塁間安打で二塁から長躯本塁へ向かった背番号「2」は、アウトのタイミングを50メートル6秒2のスピード以上に「絶対的な自信を持っている」相手捕手タッチをかわしながらのスライディングで決勝のホームイン。「肩がいいし足もある」と某NPB球団スカウトも新たな評価を追加した。
試合後には「甲子園が中止になったからこそ、僕を見てくれるチャンスが生まれている。プロになるために結果を残さないといけない」と、改めて自らの道を切り拓く姿勢を示した古市。まだ課題は残る「素材型」ではあるものの、今大会で強肩をベースに新たな武器があることを示せれば「真なる」ドラフト候補になっても全く不思議ではない。
(レポート=寺下 友徳)