【平成25年度指導者講習会】王貞治氏が東京都の指導者へメッセージ
▲東京都の指導者へ熱く語る王貞治氏
王貞治氏が東京都の指導者へメッセージ
12月7日、東京都高校野球連盟は海城高校講堂にて指導者研修会を開催した。今年は福岡ソフトバンクホークス会長の王貞治氏を招き、講演が行われた。東京都の指導者を中心に450人ほどが集まった今回の講演会。
王氏は野球を始めたきっかけ、高校時代(早稲田実業)のエピソード、プロ生活時代のお話、一本足打法になるきっかけ、打撃技術の極意、監督時代のエピソード、高校野球へ対しての思いを話した。
高校生の指導のお話では
「当時の私は理屈が分かりませんでした。ただ試合に出たい、野球が好き。それだけだったんですよね。監督に言われたことを懸命にやった。だから高校生から自ら監督に(意見を)いうことがないんです。実はプロになっても選手が監督に言う事はあまりない。だから指導者がちょっとしたアドバイスを送る。一つきっかけがあるだけでも生徒さんは大きく変わることがある」と指導法をアドバイス。
打撃面のお話では「ボールをよく見ること」と「ストライクコースを知ること」を強調。
「みなさん、スイングすることに拘りすぎなところがあります。まずはボールを捉えなければ打球は飛ばない。そのためには1パーセントもいいので、ボールをよく見ることを高校球児に教えてください。そうすることで、内野までしか飛ばなかったのが外野へ、外野のフェンスまで飛ばなかったのがフェンスを越えることがあるんです。ストライクゾーンを知るために現役時代にやったことは試合前にブルペンで打席に立って投手の球を見極めて自分のストライクゾーンを確認していました」
そのほかにも一本足打法の導入のきっかけ、タイミングの取り方、打撃の極意など指導者へ向けて熱く語った。そして高校野球へ対しての思いには
「世の中、いろいろな誘惑が多いですが、私が知る限り目標がない人ほど騙されやすいです。高校球児はそういう心配がないかなと思っています。甲子園を目指せば、そんな誘惑に乗る余裕もありませんから。目標をしっかりと持たせることが大切です」
目標を持つことの大切さを説いた。
その後、指導者からの質疑応答が活発に行われ、予定時間を超えても、王氏は快く指導者の質問に返答。最後に指導者にメッセージを送った。
「高校野球の先生方は大変です。良いチームを作ったなと思っても、一からリセットしなければならないのです。高校生は多くのモノを吸収する。良いことをどんどん吸収するけど、間違った方向に導いてしまうと大変なことになってしまう。高校生の指導はプロよりも大変ですし、先生方は私たちより全然苦労されている。指導者で一番大切なのは情熱です。選手たちができるのは指導者の皆様の情熱があるからこそ、ついていくのです。だから良い仕事をしているというプライドを持って頑張ってください」
とエールを送った。東京都高野連は昨年、コンディショニングコーチの立花龍司氏を招き、トレーニング方法の研修を行った。そして今年は王氏を招き、元プロの方を招き、少しずつプロアマの距離を縮め、専門的な技術を学び、現場の指導者、選手に還元しようとしている。これからも東京都高野連は東京都の指導者のため、東京都の球児のために様々なサポートを続けていく。