試合レポート

東海大望洋vs 富士学苑

2009.10.30

2009年10月31日 千葉県野球場 

東海大望洋(千葉2位) vs  富士学苑(山梨1位)

2009年秋の大会 第62回関東地区高校野球大会 1回戦

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尾澤投手(東海大望洋)

東海大望洋、富士学苑をくだし準々決勝に進出!

 10月31日千葉県営球場第二試合では、山梨県1位の 富士学苑 対千葉県2位の東海大望洋との一戦が行われた。

 山梨県大会準々決勝対 山梨学院大付 戦天野君のタイムリーでさよなら勝ち、準決勝対 東海大甲府 戦では4-3と接戦を制し、決勝では 甲府商 相手に今大会初先発した山本君が4回を2安打無失点に抑えエース山本君に継投、6-1と完勝し3年ぶり2回目の山梨県大会制覇、今大会3年ぶり3回目の出場を果たした富士学苑。エース山本君は小柄ながら球の出所がわかりづらいフォームを駆使して切れのある直球・変化球を投げ込んでくる好投手。今春山梨県大会を制し出場した春季関東大会の準々決勝対 横浜 戦でも好投し勝利、惜しくも準決勝対 常総学院 戦には敗戦するも好投手を証明する粘りのピッチングを披露した。今大会山本君がどのようなピッチングをするのかに注目が集まった。

 対する東海大望洋は16年ぶり2回目の出場。千葉県大会決勝で 千葉商大付 に惜敗するもこちらも好投手長友君を擁している。雨でノーゲームとなった準決勝対 市立船橋 戦も連投の疲れをみせず威力のあるストレートを投げ込み1失点完投勝利、決勝戦対 千葉商大付 戦3-2と惜敗するも安打数は11本と 千葉商大付 の6本を上回る打撃陣の好調さを見せ、投げても長友君が7回まで2失点に抑えるなどゲームを作る好投を見せた。ここぞのところのタイムリーが今大会は期待されるところ。決勝戦対 千葉商大付 戦の最終回に見せた粘りと敗戦の涙を好投手山本君擁する 富士学苑 にどうぶつけてゆくのか。

 予想された通り東海大望洋は長友君、 富士学苑 は山本君の両エースの先発。2回の表、東海大望洋の攻撃、1死1塁から下位打線にいながら長打力を持ちあわす8番天川君のタイムリー二塁打が飛び出し試合序盤で東海大望洋が先制、その後1番鈴木君が連続タイムリー二塁打で更に追加点、2-0とした。更に3回表東海大望洋、先頭の3番地下君が山本君の低めの変化球をよく見極めファールでよく粘った後右中間にツーベース、2死後6番櫻井君がライト前タイムリーを放ち3点目。 富士学苑 の好投手山本君を序盤で攻め立てる東海大望洋。低めの変化球には徹底して手を出さず、逆方向へ打球を放つ事をこれまた徹底されていると感じるほどのチーム一丸となった攻略は見事だった。

 東海大望洋の長友君は 富士学苑 を相手に4回1死までノーヒットピッチング、しかし4回四球の後、初ヒットを 富士学苑 6番古谷君に許すと続けざまに内野安打を許し1死満塁、9番蟹澤君が長友君の球をよく見極め押し出しの四球で 富士学苑 1点を返す。その後2死満塁とチャンスは続くも後続を断たれ追加点ならず。

 5回、四球は目立ちながらもストレートの威力で抑えてきた長友君に変わり背番号10の尾澤君がマウンドに。2死満塁のピンチも見事三振に打ち取る気迫の投球を披露。その流れに乗って6回表東海大望洋の攻撃1死から四球で出たランナーを9番長友君のタイムリー二塁打でホームに帰し4-1、さらに1番鈴木君のこの日2本目となるタイムリー2塁打で5-1、 富士学苑 をさらに突き放した。

 6回裏 富士学苑 の攻撃も東海大望洋尾澤君が三人で切り、交代からここまでノーヒットピッチングをみせると、対する 富士学苑 のほうも6回山本君から継投した加藤君がこちらも気迫の投球をみせそのまま最終回へ。なんとか反撃したい 富士学苑 、先頭の2番天野君がこの日チーム五本目となるヒットで出塁するも後続を断たれゲームセット。千葉県2位の東海大望洋が2日の準々決勝、この日第一試合で勝利した同じく神奈川県2位の 桐蔭学園 戦へと駒を進めた。

 序盤で変化球を見極められ、甘く入った球をさからわずに打ちかえされリズムに乗れなかった 富士学苑 エースの山本君、継投の加藤君がよくしのぎ、県大会準々決勝対 山梨学院大付 戦でみせたようなさよなら勝ちの粘りがこの試合も期待されたが東海大望洋長友-尾澤君二人の継投の前にヒット5本1得点に抑えられた形となった。

 この試合印象的だったのは 富士学苑 の応援スタイル、終始サンバのリズムで応援を展開するスタイルはグランドの選手はもとより一塁側スタンドを沸かせるに十分なものだった。また元巨人に所属していた後藤選手の兄弟にあたる後藤篤監督の、選手たちの肩に手をまわし選手と気持ちをひとつにして鼓舞する姿にも心打たれた。冬から来春にかけて富士学苑の更なる躍進を祈願したい。

(文・撮影=国吉辰一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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