News

なぜ冷湿布はアイシングの代わりにはならないの?

2017.02.21

冷湿布はアイシングの代わりにはならない

なぜ冷湿布はアイシングの代わりにはならないの? | 高校野球ドットコム

冷湿布と氷などで冷やすRICE処置は違うことを理解しよう

 急にケガをしたときやデッドボールなどでボールが当たったとき、投げ終わったあとに肩や肘に疲労や痛みなどを感じるときに、「RICE処置」という患部を氷などで冷やす応急処置を行うことは、以前よりもよく知られるようになりました。RICEとは基本的な4つの対応法を理解しやすく覚えるために、英語の頭文字をもじったもので、安静(Rest)、冷却(Icing)、圧迫(Compression)、挙上(Elevation)の4つを表します。

 痛みを感じる部位がある場合は、まず患部の炎症をとるためのRICE処置を行うよう指導します。ところが氷をビニール袋に入れて準備するのが意外と面倒だったりすると、冷たい湿布を患部に貼って「アイシング代わり」にしている選手も少なくありません。「アイシング」と「冷湿布」はともに皮膚が冷たくなる感覚がするため、同じように考えているかもしれませんが、患部の組織を冷やして炎症を抑えようとするためには「冷湿布」では不十分です。

 たとえば缶ジュースなどを冷やそうとするときに、缶の表面に冷湿布を貼るとジュースそのものが冷たくなることはあまり期待できませんよね?これと同じことがコールドスプレーにも言えると思います。コールドスプレーを患部に吹きかけて冷やすのは一時的な対処法であり、患部の炎症を抑える効果はほとんどないと考えられています。

 RICE処置を行うことによって患部付近の血管を収縮させて出血(内出血)を抑え、傷ついていない他の細胞がケガなどによる炎症の影響を受けないように守ることを目的としています。また皮膚から脳へと伝達される感覚は「冷たい」「痛い」を同時に伝えないため、一時的に痛みを感じにくくなります。また痛みを感じていると患部付近の筋肉はどうしても緊張状態になりがちですが、痛みを感じなければ筋肉の緊張は和らぐので必要以上に筋肉がかたくなってしまうことも防ぐことができると考えられます。

 冷湿布は皮膚から吸収される消炎鎮痛剤(炎症を抑えて痛みをやわらげる効果をねらったもの)やメンソールなど冷たく感じる成分が含まれており、ドラッグストアなどで手軽に購入できるため、捻挫や打撲などに使いやすいと思います。薬剤師さんや病院で処方してもらった場合には医師にしっかりと説明を受けた上で、上手に使い分けるようにしましょう。

文:西村 典子
球児必見の「セルフコンディショニングのススメ」も好評連載中!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.05

白山高元監督の“下剋上球児”再現はあるのか!? センバツ1勝の宇治山田商、2年生集団で東海大会準優勝の菰野など各ブロックの見所を紹介【2024夏・三重大会展望】

2024.07.04

「学校と地域に支えられて戦う」県内有数の進学校・磐田南(静岡)、“潔く”戦って最高の夏に【野球部訪問】

2024.07.04

「速さが怖かった」 センバツ4強から学んだ走塁で市立柏が千葉の上位を狙う

2024.07.04

5日に北北海道大会の抽選会!クラーク記念国際と別海が軸、接戦を勝ち抜いたチームにも勢い

2024.07.04

5日に新潟大会が開幕!帝京長岡と日本文理の対戦相手が決まる【2024夏の甲子園】

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.30

突然の病で右半身が麻痺した「天才野球少年」が迎える最後の夏 あきらめなかった甲子園出場の夢、「代打の一打席でもいいから……」

2024.06.29

北海は道内29連勝なるか、東海大札幌VS札幌日大の強豪対決も、30日に札幌支部で代表決定戦【2024夏の甲子園】

2024.06.29

激戦区・愛知が開幕!ノーシードから4連覇狙う愛工大名電が17得点の圧勝発進、大府、愛知産大三河も初戦を突破【2024夏の甲子園】

2024.06.29

昨秋3位の豊橋中央が登場、享栄破った実力見せる!30日愛知大会【2024夏の甲子園】

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!