法政大高vs都立小岩
初回大量点で大差試合ながらも、小岩の健闘で終始緊迫感
松本翔三郎(法政大高)
チームとしては、確実に手ごたえを感じてきつつあるという都立小岩。期待された夏は、4回戦まで進出したものの、21世紀枠代表校として甲子園出場実績もある小山台に大敗して悔しい思いもした。そして迎えた新チームの秋の舞台である。
結果は、思わぬスコアの試合となってしまったが、大量点が入った試合の割には、大味な印象があまりしなかったのは、決定的なミスやいわゆる凡プレーがどちらにも少なく、賢明なプレーの結果としてのスコア立ったからである。そして、改めて野球というのは、ちょっとしたことで試合が大きく動くことがあるということを改めて認識させられたといってもいいであろう。
初回、法政大高は先頭の平山凱大君の右前へのポテン安打ででるが、それがすべての始まりとなった。続く松尾龍君の二塁ゴロの間に二塁へ進み、河野兼吾君の打球が右中間に落ちて二塁打となり二走が生還。これで少し「あれ?」という気になってしまったのか、都立小岩の先発戸村亮君が連続四球を与えて満塁。6番飯田隼君も右前へポトリと落として2点目のタイムリー。さらに、米元康人君も低めを上手に拾って左前へ運んで2点タイムリー打。このあたりから、流れは完全に法制に傾いていき、結局打者13人、松尾君、河野君の連続二塁打もあって何と9点が入ってしまった。
「戸村に関しては、立ち上がりには少し不安はあったのですが、それが出てしまって、同にも修正できませんでした。このチームは今の段階では、戸村が崩れるとこうなってしまうのも仕方ありません」と、都立小岩の西雄介監督は、「初回がすべてだった」と、止めきれなかった初回の失点を悔いた。
大谷峻平(都立小岩)
それでも、都立小岩もしっかりと抵抗を示して、その裏には大谷峻平君のタイムリー打や佐久間竜来君の犠飛などで2点を返した。
ただ、法政大高もすぐに2回にさらに8番松本 翔三郎君のタイムリーで1点。3回にも中堅からリリーフした2人目大谷君に対して、3連打などでチャンスが広がり暴投や捕逸もあり得点が重なった。そして再登板した戸村君の代わり端に飯田君が三塁打してこの回も大量6点。
それでも、その裏に都立小岩も大谷君の2ランなどで3点を返していく。大佐にはなっていたが、競り合っている状態と同じような意識で向かっていっていた都立小岩の戦いぶりは好感が持てた。
結果的には、大差の5回コールドゲームとなってしまった。しかし、最後まで気持ちを切らさなかった都立小岩の戦いはマット次へつながるであろうという印象は与えた。西監督も、大差の完敗は認めつつも、「打線は思っているようにいけていた」と、3打数3安打の4番渡辺 伶君はじめ、本塁打した大谷君や、二塁打した関 拓斗君らの中軸はシュアな打撃見せていたし、5回には代打の川島 颯汰君が起用に応えてタイムリーを放つなど食い下がっていく姿勢は崩さなかったのは評価されよう。
大勝した法政大高だったが、植月 文隆監督も、「たまたまラッキーが重なって、初回に大量点は入りましたけれども…、まさかこんな試合展開になるなんて言うことは思ってもいませんでした」と驚いていた。そして、「これだけの点差があるのですから、投手は一人でしっかりと抑えてほしいというところもありますが…、こらえきれませんでしたね」と、苦笑して都立小岩の食い下がりを評価していた。
(文=手束 仁)
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