夏の食欲不振を克服しよう
発酵食品には漬け物の他にもチーズ、パンなどがあるので、食べやすいものを積極的にとろう
暑い日々が続くと、練習やトレーニングで体を動かすことだけではなく、暑さなどの環境によっても体力的な消耗が大きくなります。人によっては「夏場にいつも痩せてしまう」「なかなか食欲がわかない」といった悩みを抱える選手も少なくないのではないでしょうか。夏の体力を維持するためにもしっかり食べることはアスリートにとって大事なことの一つです。
【暑い環境で練習した後は体を冷やそう】
暑い中で練習を行う際は、熱中症にならないように水分・塩分補給を行っていると思いますが、体を動かすことで体温は平熱時よりは上昇します。また暑い環境下での運動後には食欲を抑制するホルモン(ペプチドYY)が増加すると言われており、なかなか食べる気が起きないのは内分泌系の作用による影響も考えられます。
このような場合は外部からの冷却が効果的であると言われており、具体的には水風呂や冷水と温水の交代浴などが挙げられます。交代浴を自宅で行う場合は温水(38℃〜42℃)を3分程度全身浴した後に、冷たいシャワー(15℃〜20℃)を30秒程度行い、これを繰り返して最後は冷水で終わるようにします。特に冷たいシャワー浴びる際は、手や足など動静脈吻合(ふんごう)と呼ばれる動脈と静脈を結ぶバイパスのような血管(AVA血管)がある場所をしっかり冷やすと良いでしょう。
【食事は量ではなく回数を意識しよう】
食欲がわかない中で食べることはなかなかむずかしいのですが、こうした状態の時に心がけてほしいことは、
1)よく噛んで食べる
2)食事量にこだわらず、補食などを活用しながら回数を増やす
3)食欲増進が期待できるものを食べる
といったことです。よく噛んで食べることは、唾液が分泌されて胃腸での消化吸収を助けることにつながります。食欲がわかないということは胃腸の働きも低下していることが考えられるためです。
また麺類は食べやすい一方で、咀嚼する回数が減ってしまうことが懸念されます。麺類だけではなくバランスの良い食事をとるように心がけましょう。また1度にたくさん食べることはむずかしいと思いますので、食べられる量をきちんと摂った上で、補食などを活用しながら回数を増やすことを意識してみましょう。
さらに食欲を刺激するような食べもの(ネバネバしたもの、夏野菜、納豆やヨーグルト、キムチなどの発酵食品、お酢など酸味のあるもの)を積極的にとるようにしてみましょう。
文:西村 典子
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