鹿児島玉龍vs徳之島
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16年前の再現ならず!・徳之島
玉龍・山下
試合が動いたのは4回裏、鹿児島玉龍は5番・山下薫輝(2年)のセンターオーバー三塁打、6番・堂本和希(2年)の犠牲フライなどで4点を先取した。
5回、徳之島はスクイズで1点を返したが、その裏鹿児島玉龍は4番・濵﨑桜輝(2年)のセンター前タイムリー、5番・山下のライトオーバー二塁打、6番・堂本のセンター前タイムリー、3連続タイムリーで4点を挙げ、大きくリードを広げた。
7点差を追いかける徳之島は6回表、一死満塁から6番・前倫太朗(2年)のセンター前タイムリー、押出しで2点を返した。
その裏、無死満塁のピンチを無失点で切り抜けると、7回表は二死三塁から3番・竹下翔(2年)のセンター前タイムリーを皮切りに、押出し、7番・稲田和志(2年)のレフト前2点タイムリー、打者一巡の猛攻で4点を返し1点差に詰め寄った。
7回裏、鹿児島玉龍は二死満塁から1番・森田悠介(1年)のセンター前タイムリー、押出しで3点差とした。
9回表、徳之島は4番・豊島凌英(2年)がライトスタンドに2ランを放ち再び1点差とするも、鹿児島玉龍のエース山下が踏ん張って後続を断ち、2時間43分の接戦を辛うじてものにした。
5回を終えて1―8の7点差。コールドペースの展開だったが吉田公一監督は「16年前と同じになったぞ!」と檄を飛ばした。
徳之島は16年前の秋準決勝で6回表まで1―9の8点差から指宿を逆転し、初の九州大会出場を決めたことがある。後半は序盤と見違えるような粘り強い全員攻撃で猛追を見せた。
劣勢を覆すには「どちらがユニホームを汚して野球をやるか」と吉田監督。粘り強く、泥臭く、最後まであきらめない野球ができるかがカギだった。
6回表に2点を返した裏、無死満塁と更なる大量失点のピンチを無失点で切り抜けた。この回から一塁を守っていた前は一二塁間の打球をさばき、頭から一塁ベースに飛び込んで最後のアウトを取った。自分のプレーでマウンドでの雪辱を晴らすべく「気がついたら飛び込んでいた」という。
エースの姿に「チームのギアが上がった」(吉田監督)。7回表は打者一巡の集中打を浴びせた。8回裏一死一三塁から再びマウンドに上がり、後続を断つ。9回表は4番・豊島が2ランを放ち、16年前の再現なるかと思われたが、あと一歩及ばなかった。
「自分がしっかり抑えていれば、こんなに点は取られなかった」と前は悔しがる。4、5回と四球を足掛かりにピンチを招いて集中打を浴び大量失点。後半に見せた粘り強い打撃を生かすためにも投手を中心にした守備で「『負けない野球』の精度を上げること」(吉田監督)が来春までの必須事項になった。
コロナ禍や離島を言い訳にせず「自分で自分を高める」(吉田監督)姿勢が徳之島野球の真骨頂。前は「1人で投げ切れる投手になる」と飛躍を誓っていた。
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(取材=政 純一郎)
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徳之島・前
本塁アウト
2塁アウト