肩や肘が痛くなったときにできること
ケガで投げられないときにも、できることはたくさんある!
野球は投球動作を繰り返すため、他のスポーツに比べると肩や肘のケガは多くみられます。練習でうまくいかない、試合で思うような結果が出ない…というときに限って、過度な練習や投球フォームの乱れなどから肩や肘を痛めてしまいがちです。「夏の大会に間に合わないかも」という焦りはあるかもしれませんが、まず、今自分ができることを見直してみましょう。
1)何を痛めたのか、どのような状態なのかを確認する
投球時に起こるスポーツ傷害の多くは突発的なものではなく、少しずつ状態が悪くなっていってやがて投球動作ができなくなるといった時間の経過とともに起こるケガです。痛みや炎症の原因が靱帯なのか、筋肉なのか、関節なのか…といったことを把握するためにも、まずは近隣の整形外科を受診し、検査などで診断してもらいましょう。スポーツ整形外科のある病院であればより詳しい話を聞くことができると思います。
2)状況がわかったらその原因となるものを取り除く
肩や肘を痛めたときに、原因がその部位にあるものか、それとも一連の投球動作によるものなのかを確認し、その原因となるものを取り除くようにします。たとえば肩や肘の靱帯を痛めてしまっている場合は、患部が落ち着くまではノースローであり、痛みのある動作は控えるようにします。それと同時に肩や肘を痛める原因となったのは、たとえば体幹の筋力が弱くてフォームが崩れることだったり、下半身の柔軟性が極端に低いことだったり、肩甲骨の動きが悪かったり…といったことが考えられます。トレーナーやスポーツに詳しい治療家の先生など専門家に相談する、もしくは身近に専門家がいない場合は病院の受診時に医師に相談してみましょう。
3)できることを一つずつ行って改善を目指す
「肩や肘が痛いから練習ができない」ということはなく、痛めている部位以外のところは積極的に動かすようにしましょう。これを患部外トレーニングといいます。上半身を痛めていても下半身は筋力強化が可能ですし、同時に柔軟性の改善にも取り組むことができます。また腹部の深層部にある腹横筋などを強化すると体幹部分の安定性が高まることも期待できます。シャドーピッチングやタオルを使ったピッチングなどでフォームを確認し、コーチにアドバイスをもらうこともできるでしょう。「できないこと」に目を向けるのではなく、今の状況で「できること」に着目して実践し、競技復帰を目指すことが大切です。
文:西村 典子
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