全国V9度の神戸弘陵女子野球部が和歌山大と合同練習を実施「またこういう機会を」
神戸弘陵女子野球部と和歌山大男子野球部が合同練習を実施
近畿学生野球連盟に所属する和歌山大硬式野球部と、全国大会で9度の優勝を誇る女子高校野球の神戸弘陵学園高校女子硬式野球部が24日、和歌山県内のグラウンドで合同練習を行った。
普段から親交のある和歌山大の大原弘監督と、神戸弘陵の石原康司監督が今夏、遠征先の愛知県のホテルで偶然同じ宿となり、シーズンが落ち着いたタイミングで両校が一緒にしようと話したのがきっかけで、クリスマスイブのこの日に男子の大学野球部と女子高校野球部の珍しい合同練習が実現した。
午前9時過ぎにグラウンドに到着した神戸弘陵の約40人の選手たちは、ウォーミングアップの後、和歌山大が日頃の練習で実践しているドリルを学んだ。
和歌山大の学生コーチ・中西陽さん(3年=富岡西)が練習の音頭をとり、ゴロ捕球、握り替え、カットプレー、飛球、バント捕球などのドリルメニューを、大学生と高校生が一緒に取り組み、高校生が積極的に質問する場面も多く見られた。
午後からは神戸弘陵の選手を中心に打者、走者、投手、審判もつけて実戦練習。神戸弘陵の石原監督が、「女子野球全体の課題」と話す走塁面をテーマに、第2リードを含むリードの取り方、スタートのタイミング、打球判断、ヒット1本で生還できる走塁、守備ではランダウンプレーといった部分を和歌山大の選手が丁寧に説明した。和歌山大の選手が「もう1歩分いけるよ」などのアドバイスを送ると、神戸弘陵の選手も徐々にリードの幅が広がり、「短時間でこんなに変われるんだ」という声が出るほど目に見えて成果が表れるようになった。
また、審判をつけて実戦と同じ形でやるため、プレーが切れた際には、「インプレーなら走者が走る。(練習でも)審判にタイムをとって、球を返すように」など、普段の練習では忘れがちになるようなアドバイスもあった。
予定を1時間近くオーバーし、午後4時過ぎに全体のメニューは終了。
神戸弘陵の三村 歩生主将(2年)は、「今日教わったことを生かして、春に選抜大会があるので、日本一を獲れるように頑張ります」と大学生に挨拶。石原監督も、「大学生がしっかりと言語化してくれて、丁寧に熱心に指導してくれた。その熱意に感動しました。うれしいです。またお願いしたい」と感謝した。
刺激を受けたのは来春に3年連続の全日本大学選手権出場を目指す和歌山大の選手も同じ。合同練習で音頭をとった和歌山大学生コーチの中西さんは高校生が乗ったバスを見送り、「神戸弘陵の選手を見ていて野球を楽しんでいるという印象が強かった。自分たちもやらんとあかんという思いがあり、楽しむということを忘れがちになる。楽しむという本質を思い出す機会になった」と貴重な1日の感想を語った。
合同練習を企画した大原監督はキャッチボールできれいなフォームで投げていた神戸弘陵の投手を思い出しながら、「あんなキャッチボールができる選手がウチの投手にも欲しいですね。みんな野球にかける思いが強く、吸収が早い。私たちも勉強になることがたくさんある」と話した。
男子の大学野球と女子の高校野球。普段は違うカテゴリーではあるが、野球に打ち込む仲間であり、年齢も近い。お互いの指揮官が、「またこういう機会を」と話したように、近いうちにこうした交流がまた実現しそうだ。