清宮世代は野手の逸材が多数!今から注目しておきたい選手たち
大豊作の世代かもしれない。世代をリードする選手はどちらかというと投手というパターンが多い。たとえば1998年は松坂世代、2006年は、田中将大が第一線を走り、同世代の選手たちが続いた形だ。そして現在、1999年生まれの選手を見ると、昨夏の甲子園で2本塁打を放った清宮幸太郎(早稲田実業・関連記事)がリードしているといっていいだろう。同世代の選手を見ていくと、野手の逸材が本当に多い。今からこの世代の選手たちを押さえておきたい。
清宮とともにドラフト候補として期待したい5人の選手たち
清宮 幸太郎(早稲田実業)
この世代をリードする清宮は、やはり同世代でも打撃はナンバーワン。スイングの速さ、打球の速さ、バットコントロールの良さ、選球眼の良さなど、打撃技術、パワー、将来性と何もかもがずば抜けている。どこまで本塁打を量産するのか、そして高打率を残すことができるのかという点に尽きるだろう。稀有なスター性を持った清宮に求められるのは、やはり大舞台での活躍。ぜひ高校野球史に残る大打者と呼ばれるような歩みを目指していってほしい。
この清宮に並び、ドラフト候補に浮上する可能性を持っているのが峯村貴希(木更津総合)、太田 英毅(智辯学園)、増田殊(横浜)、西浦颯大(明徳義塾)、村上 宗隆(九州学院)。この5人は現時点でも順調に伸びれば、ドラフト候補に名乗り挙がる可能性を持っている。
峯村は、中学時代(佐倉シニア)で日本一を経験。1年春からレギュラーを獲得し、順調に成長していった大型野手だ。神宮大会では先頭打者本塁打を放つなど、打撃技術、スイングスピードはずば抜けており、さらに俊足を生かした遊撃守備をするので、攻守両面で伸びていけば、来年にはドラフト上位候補になる可能性を持った選手だ。
増田は中学時代、U-15代表入りを経験した走攻守でハイレベルな選手。打撃はレベルスイングで、広角に打ち分け、甘く入れば一発を打ち込むパワーを持つ。走塁でも、標準以上の脚力の持ち主だ。さらに守備範囲の広い守備に強肩と、1年生でこれほどスキルが高い外野手もそうはいない。着実に実績を伸ばせば間違いなくドラフト候補に浮上しそうだ。
太田は、昨秋1番に座りながらも、打率.429、3本塁打、9打点と打ちまくった強打の遊撃手。智辯学園は岡本 和真(2014年インタビュー)、廣岡 大志(2015年インタビュー)といったスラッガーを輩出しているが、太田も順調に伸びればドラフト候補になる可能性を持った選手だろう。175センチ76キロとそれほど体は大きくないが、打球を遠くへ飛ばすコツを持っている。残り2年間で、体を大きくしたり、走攻守でワンランクレベルアップを果たしていきたい選手だ。
村上は、1年生ながら4番に座り、甲子園に出場。185センチ86キロと恵まれた体格をしているだけではなく、広角に打ち分ける技術の高さもあり、一冬越えてどれだけ本格化するか、楽しみなスラッガーといえるだろう。
西浦は、増田同様、U-15代表入りを経験した左打ちの大型外野手。好選手が多い明徳義塾でも、走攻守の完成度の高さはピカイチで、この2年間で、高卒プロを狙える凄味を見せてくれるか注目をしていきたい。
東日本は関東・東京を中心に逸材が集結
北から逸材を紹介すると、巧みなバットコントロールと捕ってから投げるまでが速く、攻守でバランスが取れた宮澤 晃汰(札幌第一)、また工藤 飛馬(青森山田)は実にすばしっこい動きをしており、守備範囲の広さ、球際の強さは一級品の三塁手。そして昨年12月末、山形県選抜に選出された鈴木 琉生(日大山形)は懐が深く、鋭い打球を打ち返すことができる選手で、さらに脚力も高く、将来は山形県屈指のスラッガ―と呼ばれる存在となりそうだ。
小泉徹平(聖光学院)はバットコントロールが良い打撃とキレの良い二塁守備が1年生としてハイレベルで、最終学年になれば大きく注目を浴びそうだ。巧みなグラブ捌きが光る二塁手・西巻 賢二(仙台育英)も、体をしっかりと作り、逞しくなった姿でグラウンドを暴れまわっていきたい。
北関東ではまず、長打力が同世代でもトップクラスの宮里 豊汰(常総学院)に注目。選抜でも一打を見せてくれるか。楊 笑虎(鹿島学園)は台湾からの留学生で、185センチ78キロと恵まれた体格を誇り、パワフルな打撃をウリとする。桐生第一で4番を打つ鏑木 風雅はU-15代表入りをした経験を持っており、巧打力があり、さらに守備力も安定していて選抜でも活躍が楽しみな選手だ。
埼玉では三上 ケビンと室賀 優斗の叡明コンビに注目。2人はなんといっても180センチ超えをしているのが良い。三上はケガで苦しんだが、俊足強肩強打の外野手で、埼玉を盛り上げる選手を目指している。さらに室賀は、投げては135キロ前後、打っても本塁打連発と、投打のスケールはかなり高く、この1年で、高卒プロを目指せる技量を身に付けたい。
千葉県に目を向けると、山下 輝(木更津総合・2015年インタビュー)は長打力はもちろん、低めの球を打つしぶとさがあり、選球眼も高く、今年にかけて長打力を開花することができるか。金久保 優斗(東海大望洋)は、投げても140キロ近い球を放り、野手としても巧みな二塁守備が光る選手。金久保と二遊間を守る藤本 誠啓は、俊敏な遊撃守備、正確性が高く、広角に打ち分ける技術が備わった選手で、一冬越えてうまくパワーアップが実現できれば、一気にクローズアップされる可能性を持った選手だ。草野 里葵(市立船橋)は県内屈指の俊足外野手で、打撃に力強さが出てくれば、面白い。
昨秋都大会準優勝の二松学舎大附は4番永井 敦士に注目。逆方向にも長打が打てるスラッガーで、今年から本塁打を量産できる選手となっていくか。
宮路 悠良 (東海大高輪台)
青木 海斗、宮路 悠良、大西星夜の東海大高輪台トリオは、東京都を大きく盛り上げる存在になりそう。青木は、木製バットで打つロングティーでもスタンドインさせる長打力を持つ逸材だ。昨秋は公式戦で本塁打を放った大西はツボに入った時の長打力は圧巻。目指すは東京都ナンバーワン打者だ。
宮路は、投げれば140キロ台の速球、打っても鋭いライナー性の打球を連発。また内外野を守る器用さを備えており、関係者の間では「野球センスではチームナンバーワン。あとはそれを生かす感性、意識の高さだと思います」と語る。投手では150キロを目指し、野手としてもさらなるパワーアップを目指す宮路だが、我々を驚かす選手となっていくだろうか。
上原 隼(国士舘)の鋭い打球を生み出す技術は目を見張るものがあり、ダイナミックな守備を見せる二塁手としてより注目されそうだ。修徳は1年生からレギュラーの捕手・宮本 博文、外野手・高山匠も昨年以上の活躍が期待される。
桐蔭学園・柿崎、秀岳館・木本、横浜・福永と楽しみな野手が多数!
神奈川県では、ナンバーワンの守備力を誇る福永 奨(横浜)が残り2年で守備面のアピール、さらに打撃のパワーアップが実現できるとドラフト候補に名乗りを挙げる可能性を持っている。桐光学園も逸材揃いだ。逢阪 倫充は、北砂リトル時代、清宮とチームメイトだった。打撃力も高く、さらに打球反応の良い三塁守備が魅力だ。渡部 遼人は打球判断が良い外野守備と巧打力が魅力の左打ち外野手。U-15代表だった齋藤 健成も、粘っこい打撃、俊足、強肩が光る外野手だ。
柿崎 颯馬(桐蔭学園)は速球投手に振りまけない打撃技術を誇る外野手。伝統的に左打ちの好打者が多い桐蔭学園だが、まだ長打力が大きく伸びる可能性を持っており、最終学年までにどんな進化を見せてくれるか期待したい逸材。
東海地区では熊本 裕次(愛工大名電)は長打力、巧打力を兼ね備えた三塁手で、一冬越えて大きく化ける可能性を持った選手だろう。また至学館では井口 敦太にも注目したい。パワフルな打撃を持ち味とする強打の捕手だ。大谷 康稀も、俊足強肩を誇る外野手。
北信越地区を見ていく。選抜出場の敦賀気比は2人の野手に注目。上中尾 真季は守備範囲の広い守備はもちろん、ここぞというところで一打が打てる勝負強さが魅力の外野手だ。4番を打つ橋本 篤弥は、パワフルな打撃が持ち味だが、まだ確実性という点が課題で、この1年をかけて長打力だけではなく、常にパワフルな打球を見せることができるかが問われるところ。遠藤 莞生(加茂暁星)は1年生からクリーンナップを打つ逸材で、今年の新潟県を盛り上げる逸材となっていくか注目をしていきたいところ。川村 啓真(日本文理)も攻守のバランスが取れた捕手で、2年ぶりの甲子園に導く活躍を見せる。
近畿地区では神野 太樹(天理)は1年夏から甲子園出場。打席内で落ち着きがあり、選球眼も高く、長打力もある選手で、一冬越えてより長打が期待出来る選手といえよう。後藤 克基(滋賀学園)は巧みなリードで多くの勝利に演出。選抜ではエース・神村月光(2015年インタビュー)の持ち味をしっかりと引き出したい。そして岡田悠希(龍谷大平安)は、昨秋3本塁打を放った期待の左のスラッガー。まだライナー性の打球が多く、今年から来年へかけて打球の角度を付けて長距離打者として売り出していきたい。
中国地区では、難波 侑平(創志学園)は昨秋、打率.409を記録した左の好打者。広角に長打を打ち分けられるのが強みだ。
四国地区では183センチ82キロと恵まれた体格を生かした長打力に期待がかかる藤原 拓実(今治西)に注目だ。
木本 凌雅(秀岳館)
九州大会優勝の秀岳館で3番を打つ木本 凌雅(秀岳館)は昨秋、打率.488を記録したように、常に安打が期待できる右打者。打撃技術は秀岳館の打者の中でもずば抜けており、あとはどれだけ長打が打てるか。今は一塁手なので、一塁以外のポジションを守れるようになるとドラフト候補として浮上する可能性を持っている。
甲斐 雄也(濟々黌)は期待の1年生スラッガー。昨夏も豪快な本塁打を放っている。逸材を多く生み出す沖縄は、比嘉 花道(嘉手納)に注目。ベスト4に勝ち進んだ同校の5番に座り、秋季大会は4割を超える打撃成績を残した。
想像以上に野手の逸材が多いと感じた方もいるのではないだろうか。ぜひ春季大会では彼らのパフォーマンスも注目してほしい。
(文=河嶋 宗一)
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