News

石川歩の夢は変わる、古着屋の店員からメジャーリーガーへ

2019.12.26

石川歩の夢は変わる、古着屋の店員からメジャーリーガーへ | 高校野球ドットコム
石川歩投手

 12月25日、ロッテの石川歩が契約更改を行い、年俸1億500万円(推定)でサインした。その後の会見では、将来的なメジャーリーグ挑戦について「夢を伝えた」という表現で語っている。

 1988年生まれの石川は現在31歳。順調にいっても海外FA権を取得するのは2023年シーズン中になる。そのオフに権利を行使しても36歳の2024年シーズンがMLB移籍初年度だ。斎藤隆(現・ヤクルトコーチ)のように36歳で海を渡った例もあるが、一般的に見ると状況は厳しい。

 権利を取得する前にポスティングシステムを利用することが濃厚だ。その点、ロッテは西岡剛(2010年/ツインズ)の例もあり、早ければ2020年シーズンオフにも実現する可能性もある。誰もが認める成績を残すことが大前提ではあるが、本人のモチベーションにはなるだろう。

 さて、そんな石川は富山県の富山滑川高校から中部大学を経て、東京ガスへと入社し2013年ドラフト1位でロッテへと入団している。大卒社会人出身のドラ1ということもあり、順風満帆に見えるが決してそんなことはない。

 石川は富山滑川高校時代に甲子園への出場はなく、全国的な知名度は皆無だった。プロ志望届ももちろん出していない。

 当時の顧問である土井聡先生は「当時は『古着屋の店員になりたい』って言ってました。高校3年の6月にですよ」と教えてくれた。プロ野球選手になるということが頭になかったのである。

 中部大学時代に日本代表にも選ばれるなど全国区になりつつあったが、4年時にプロ志望届を提出することなく東京ガスへと進んでいる。東京ガスでも指名解禁年にはドラフト指名を受けず、ようやく解禁から1年後の2013年に晴れて指名を受けたのだ。同世代の田中将大(現・ヤンキース)が楽天を日本一に導き、MLB移籍を果たすオフにようやくプロ入りとなったのである。

 プロ入り後は1年目から新人王を受賞する活躍を見せ、2017年の第4回ワールド・ベースボール・クラシックにも出場。順調にキャリアを積んでいるように見えたが、大会後の2017年から3年連続で規定投球回、2桁勝利に届かず苦しんでいる。

 これまでゆっくりかもしれないが石川は名前の通り、着実に歩みを進めてきた。ここ数年の不振を跳ね飛ばして2020年シーズンに結果を残し、夢の舞台へと踏み出すことができるだろうか。

 メジャーリーガーになることで夢は叶う。

(記事=勝田 聡

関連記事
石川 歩投手(滑川-千葉ロッテマリーンズ)進路志望が「プロ野球選手」に変わった日【前編】
石川 歩投手(滑川-千葉ロッテマリーンズ)「WBCのマウンドに立っていたのは今でも信じられない」【後編】

ロッテ二木が背番号「18」に!鹿児島県の高校出身者の奮起に期待

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.06

23年三重王者・いなべ総合が初戦で敗れる!9回に逆転満塁弾を許す

2024.07.06

MAX153キロ、高校通算39本塁打、偏差値70! 東京の超進学校に現れた“規格外の男”森井翔太郎の「気になる進路」

2024.07.06

高校生ドラフト期待度ランキング10位-1位 ドラフト上位有力“超高校級の逸材”の中から1位に輝いたのは…?【2024夏直前版】

2024.07.06

【7日登場の逸材たち】超進学校・桐朋の二刀流が登場!横浜隼人の149キロ右腕、名門・県立岐阜商の149キロ右腕などプロ注目選手が続々初戦を迎える

2024.07.06

福岡大会ではシード校が明暗!大牟田、九産大九産が敗退、福岡大大濠、東海大福岡、春日、鞍手は勝利

2024.07.05

白山高元監督の“下剋上球児”再現はあるのか!? センバツ1勝の宇治山田商、2年生集団で東海大会準優勝の菰野など各ブロックの見所を紹介【2024夏・三重大会展望】

2024.07.05

春連覇した加藤学園は悲観達成を狙う! 静岡、日大三島、藤枝明誠、プロ注右腕・小船を擁する知徳らが行く手を阻む!?【2024夏・静岡大会展望】

2024.07.05

静岡大会ではノーシード勢が初戦、常葉大菊川、聖隷クリストファーが開幕6日に登場【2024夏の甲子園】

2024.07.05

三重大会が6日開幕、昨夏代表のいなべ総合が初日に登場【2024夏の甲子園】

2024.07.05

大阪大会は京セラドーム大阪で6日に開幕、大阪桐蔭は14日、履正社は14日に初戦【2024夏の甲子園】

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!