伊集院vs鹿屋工
勝因は「切り替え」
シード伊集院が1回に3番瀬戸口颯（3年）のレフト前タイムリーで挙げた1点を守り切った。
「スミ一」の勝利は、伊集院・内野公貴監督も「あまり経験がない」と言う。最大の勝因は大迫琢真と中里彰良の3年生バッテリーの頑張りに尽きるわけだが、選手たちの「切り替えの早さ」も勝因に挙げられるだろう。
「スライダーを勝負球にして、合わされたら直球で攻める」（大迫）がバッテリーの基本コンセプト。「ボールにする球とストライクを取る球の使い分けがしっかりできていた」と中里。無論最初から最後まで思い通り投げられるわけではないが「打たれても『あっ！』とか『悔しい！』とか思わずに、次のボールに集中できた」と大迫は言う。中里も「最後まで自分に集中して、自分を律していた」大迫の姿を最後まで感じることができた。
こういう試合は、得てして1つのエラーやミスから大きく流れが変わることがある。伊集院の野手陣がノーミスで守り切ったかと言えばそうではない。
傷口が広がって相手に流れを渡しかねないようなミスは、攻撃でも守備でも、何度かあった。伊集院ナインが良かったのはミスを引きずらずに、大迫と同じく切り替えて次のプレーに集中できたことだ。
例えばショート・德澤昂洋（3年）は5回二死二塁で二遊間のイレギュラーバウンドを取り損ねてピンチを招いている。
「エラーはしたけれど、周りの声を聞けて次のプレーに切り替えられた。琢真がもう1回僕のところに打たせてくれたのを落ち着いて処理できた」。
「お互いに気持ちが入っていて、どちらも流れを引き寄せられなかった」（内野監督）展開の中で、バッテリーを中心にした守りで集中力が最後まで途切れなかった伊集院が「スミ一」の試合をものにした。
(文＝政純一郎)
