佼成学園vs明大中野八王子
ユニホームも新たに、準備は整った!
佼成学園の安定した戦いぶり、攻守にわたってきっちりとまとまっているという印象を強く残した試合だった。混戦といわれている、今年の西東京大会にあって、第2シードの佼成学園が、その存在感を示し始めた。
まず1回、佼成学園は一死後神足勇樹也(2年)がセンター前ヒットで出ると、小林颯(2年)が連打で続きで二、三塁とする。ここで、好打者の吉田大成がライトへ犠牲フライを放ちであっさり先制した。
3回も一死後、神足と小林の連続のライト前ヒットで一、二塁とすると、今度は吉田が左中間を破って三塁打として2点を追加した。ここまでの3打点がすべて主砲の吉田というところにも、佼成学園の試合の流れが上手くいっているということを感じさせるものでもある。
さらに、続く木村拓哉のファーストゴロの間に吉田も生還。6回にも1点を追加した佼成学園は、まさに、先制→中押し→ダメ押し、という理想的な展開で磯崎紀大投手をあと押しした。背番号10の磯崎は、悪い癖といわれていた、突然制球を乱して四球を与えてしまうという難点を克服して、この試合では9回の先頭打者に与えた四球のみだった。
藤田直毅監督は、「春からの進歩は、投手陣の安定です。磯崎は、大会前の練習試合の中から、何かをつかんだのだと思います。明大中野八王子は打力があるので、もっと打たれるかなと思っていたのですが、今日の磯崎は良かったです」と、磯崎投手の出来に対しては満足していた。春先は、球威が増したことによって、それで抑えてやろうとして却って力んでしまって、制球を乱したということもあったようだ。そこを、いい意味で抜いていくコツを覚えたということであろう。
結果的には、4安打完封で三塁も踏ませないという内容だった。
ところで、佼成学園はこの大会からユニホームを変更した。生地も従来のものに変えて、伸縮性のある素材を使用して、下半身などはより鍛えてあることをアピールできるようなスタイルのものだ。そして、胸マークも以前のローマ字で「KOSEI」というものから、漢字で「佼成学園」というものになった。これは、OBでもある藤田監督が、周囲の声を聴きながら、「全国でKOSEIというと、強い学校も出てきてしまいましたから、ここは漢字でしっかりと佼成学園と校名を示した方がいいのではないかということで、こうなりました」という。その気持ちの背景には、「このユニホームで全国の檜舞台の甲子園に復活するぞ」という強い気持ちが十分に窺える。
伝統校がユニホームを変更するときは、一つのエポックが訪れるという。佼成学園は今年、そんなタイミングになっているのではないかと感じさせる何かを秘めているような気がしてならない。
ユニホームといえば、伝統の紫の筆記体で「meiji」のロゴも力強い明大中野八王子。実は、兄弟校の明大中野とも、その本家ともいえる明大明治とも似ていて、若干「m」の文字の大きさに差異があるということで、それぞれを区別しているという。そんな、meijiグループの中で、明大中野対決を制して一番最後まで残った明大中野八王子ではあるが、この日はほとんどチャンスらしてチャンスも作ることが出来ずに敗れ去ってしまった。
(文=手束仁)