Column

【第97回北北海道大会展望】本命不在も白樺学園がややリードか

2015.07.13

 07、08年の駒大岩見沢以来、連続出場のない大混戦の北北海道。最近5年を振り返っても、春夏ともにすべて違う学校が甲子園切符を手にしている。今大会も春の北海道大会四強の白樺学園がややリードしているものの、どこのチームにもチャンスのある情勢は変わらない。

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中野 祐一郎 (白樺学園)

 春の北海道大会で北北海道地区唯一のベスト4入りした白樺学園が大本命といえる。河村説人(3年)、中野祐一郎(3年)の両右腕は、ともに完投能力のある好投手だ。河村は192cmの長身から投げ下ろすストレートが武器。6月に行われた大阪桐蔭との招待試合では、4回からマウンドへ。全国屈指の強力打線を相手に、5イニング2安打1失点の好投をみせ、勝利に大きく貢献したことですっかり自信をつけた。

 自慢の打線はもちろん健在だ。大阪桐蔭戦では左腕エース田中誠也(3年)から3点ビハインドの3回、先頭の9番・矢尾板大河(2年)が中前安打。これを皮切りに7安打を集中し、打者11人攻撃で6点を挙げてみせた。「憧れのチームと戦って、練習の成果を出せたことが大きな自信」と、戸出直樹監督も手応えを十分感じている。

 十勝支部予選では3番に座る池田裕介(3年)が、2試合で8打数6安打と大当たり。代表決定戦の北海道広尾戦では、中越えに豪快な本塁打も放ってみせた。春以降、2死三塁からのシート打撃で集中力を磨き、勝負強さが増した。また、春は試合でほとんど使わなかったバントの練習にも時間を割き、得点機を逃さない野球にも力を入れてきたことで、得点力もアップした。初戦の相手は深川西春の北海道大会でも初戦で対戦し、6-4で勝利している。

 同じ十勝支部で、プロ注目の好右腕・長江理貴(3年)を擁する帯広緑陽は、昨秋の北海道大会東海大四をあわやのところまで追いつめた北見工と対戦する。中学時代、スピードスケート500メートルで全国優勝を果たした強靭な下半身から繰り出される長江のストレートは、昨年の段階ですでに140キロを超えている。代表決定戦でも6球団のスカウトが集結した逸材だ。

 センバツの21世紀枠候補にも選ばれた北見工は、2年生エース・中川裕元が完全復調した。冬場のウエートトレーニングで筋力アップしたが、それがかえってフォームのバランスを崩す原因となり、春先はコントロールに苦労した。ようやくここにきてフォームも安定し始めたことで、本来の投球を取り戻しつつある。

 秋、春と支部予選敗退していた遠軽は、粘り強さを身に付けて北北海道大会にコマを進めてきた。初戦の相手となる稚内大谷も、2年ぶりの北北海道大会となる。

 春は私学の強豪を次々となぎ倒し、旭川支部の頂点に立った旭川西北海道大会でも札幌大谷を7回コールドで下すなど、ここ一番でみせる打線の集中力には定評がある。エース・稲田嘉起(3年)にも安定感が増してきた。初戦は試合巧者の釧路北陽との一戦となる。

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徳橋 颯野 (武修館)

 こちらは混戦が予想される。昨年の覇者武修館は甲子園を経験している徳橋颯野(2年)、山崎永治(2年)の両左腕が健在。釧路支部予選では2試合とも2人による継投で、危なげなく勝ち上がった。「けが人もなく順調です。去年の優勝は意識せず、一戦一戦やるだけです」と、こちらも甲子園経験者である榎森駿也主将(3年)は静かに意気込む。お互い手の内を知り尽くした釧路工が初戦の相手となる。

 甲子園に出場した2010年夏以来の北北海道大会となる旭川実は、中学時代、釧路選抜の一員として全国制覇の経験を持つ3番打者の陣翔大(2年)のバットが好調だ。支部予選準決勝の旭川北戦で豪快な一発を放つと、代表決定戦の旭川明誠戦では二塁打2本を含む4安打3打点でチームを勝利に導いた。
2年生エース・吉田良太瀧ケ平栞汰(3年)、西森弘貴(3年)に陣を加えた投手陣は豊富で、夏を乗り切るスタッフはそろっている。初戦の相手となる帯広柏葉は、支部代表決定戦でエース・福田遼(3年)が宿敵・帯広三条を1-0で完封。2年ぶりの北北海道大会にチームも盛り上がっている。

 春の北海道大会で優勝した北海を最後まで苦しめた天塩は、今年から指揮を執る山崎進監督の手腕に注目。西日本短大付、名商大で培ってきた野球観は、しっかりと選手に浸透しており、大胆な采配であっと言わせるかもしれない。

 古豪・旭川龍谷は小刻みな継投で、2年ぶりの北北海道大会へと進出した。その日の調子や相手との力関係などによって世永大介(3年)、岡田周斗(3年)、佐藤竜次(3年)、山田智則(2年)の4投手を使い分ける。投手の特徴を生かした歳桃晨之介(2年)のリードがカギを握る。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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