Interview

9年ぶりの甲子園へ!名門復活を託された主砲・山下航汰(京都外大西)【前編】

2019.06.01

 上羽功晃監督が「京都一の打者」と評価しているのが2年生にして4番に座る18152(2年)。1年春からレギュラーを掴み、既に通算20本以上の本塁打を打っている。3月の練習試合では星稜奥川恭伸(3年)から本塁打を放った注目のスラッガーが語る打撃の極意を聞いてみた。

1年春から主力として活躍、順調な高校野球スタートを飾る

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山下航汰(京都外大西)

 福井県出身の山下は親族に野球経験者が多く、その影響で小学1年生の時に福井市立清水東小学校の野球部で野球を始めた。体は細かったが、身長は高い方で当時から打つことに自信はあったという。

 中学では吉田正尚(オリックス)を輩出した鯖江ボーイズに所属。山下が1年生の時には敦賀気比の4番捕手として昨年の甲子園に出場した杉森圭輔同志社大)を擁して全国制覇を成し遂げている。山下は2年生の時に左翼手のレギュラーを獲得すると、3年生時には3番捕手として活躍。ジャイアンツカップにも出場したが初戦で敗れており、「中学の時は全然有名じゃなかったです」と自らの中学時代を振り返る。

 進学先に京都外大西を選んだのは同校OBの従兄弟である谷本大晟駒澤大)の影響が大きかった。谷本からも熱心に勧められていたこともあり、周囲で京都外大西に行く雰囲気ができていたそうだ。だが、当の本人は京都外大西のことを「全然知らなかった」という。福井で生まれ育った山下にとって京都の高校にあまりなじみがなかったのだ。いざ入学して感じたのが先輩との体格差を感じたという。

 「中学と違って体が大きい人ばっかりで雰囲気も全然違いました。最初はレギュラー取れるかなと思っていました」

 しかし、そんな不安とは裏腹に山下は早々とレギュラーの座を掴む。春季大会前にチーム内でインフルエンザが流行して戦線離脱する先輩が数人出た。その中で与えられたチャンスを活かした山下はスタメンの座を勝ち取り、二次戦では一桁背番号を背負うまでになった。

 順調すぎる高校デビューだが、山下は「良い感じでスタートできたのは良かったんですけど、もうちょっと打てた感じはあります」と決して満足はしていなかった。チームに欠かせない選手となった山下は6番左翼手として初めての夏に挑んだ。

 「3年生にとって最後の大会なのでプレッシャーがありました。メチャメチャ緊張して球も見えなくて、最初は打てなかったです」

 初めて味わう独特の緊張感に最初は戸惑った山下。それでも1回戦の田辺戦では第3打席にランニング本塁打を放つと、「一本打ったら気持ちが楽になりました」と続く第4打席には左翼席に叩き込み、2打席連続本塁打という離れ業を成し遂げた。チームは3回戦で敗れたが、個人としては強烈なインパクトを残すことができた。

[page_break:主将としての重圧。2年秋は苦しい時期だった]

高校野球の慣れが自分の打撃を狂わせた

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山下航汰(京都外大西)

 3年生が引退して新チームになると、山下は満を持して4番を任された。だが、中学時代は3番打者だったこともあり、4番という打順は慣れなかったという。

 「中学でも4番を打ってないので、最初の方は全然慣れてなくて…。今までよりも打たないといけないという意識が少し出てきました」

 4番の難しさも感じながらの秋だったが、二次戦1回戦の京都文教戦で先制弾を放つなど、打線の軸として活躍してチームの4強進出に大きく貢献した。高校1年生にしては十分すぎる結果を残したが、山下自身はどのように感じていたのだろうか。

 「最初の方が打っていた気がします。高校野球に慣れだして自分のバッティングを忘れてしまった感じがあります」

 結果を出して有名になれば、当然のようにマークは厳しくなる。秋の準々決勝では上羽監督が「京都で一番良い投手」と認める京都翔英遠藤慎也と対戦したが、相手を意識しすぎて無安打に抑えられた。冬場は自分の打撃を見失わないことを意識したという。

 「特にバッティングを変えてはいないんですけど、ホームランを打った後に開くことが多いので、開き気味になったら素振りやティーで開かないことを意識しています」

 前編はここまで。後編では、プロ入りを見据えた新たな取り組みに迫ります。お楽しみに!

文=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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