九州学院vs創成館
萩原(九州学院)
「直球よりもスライダーを多めにした」と変化球主体で創成館打線を打ち取っていく。与えた四球はわずかに1個。ピンチはあったが、点を取られる気配はまったくなかった。7回を投げてわずか66球と余力は十分。「球の走りも日毎に良くなっている。神宮大会に行きたい」とクールな表情で話した。
大塚(九州学院)
「力は創成館さんと互角だと思うのですが、萩原の一発で流れがこちらに来た」と試合を振り返った坂井宏安監督。1番で主将の一発は、それだけのインパクトがあったようだ。
「相手のピッチャーに投げさせたくないと思われるような一番打者になりたい」とこの秋から先頭打者を張る主将の萩原。この日はまさに創成館サイドに対して、怯ませるくらいの効果があった。
その創成館は、ほとんど良い所がなかった。
「試合前から硬かった。1年生の大野をもっと2年生が支えてあげられれば・・・」と悔やんだのは柳井田貴司主将(2年)。
萩原の一発の後遺症を象徴する場面が3回表。1死走者なしでの萩原の第2打席。大野が1球目を投じる瞬間に、キャッチャーの草野青空(2年)が立ちあがった。
『あれっ敬遠??』
と思わせる草野の行動。2球目以降、草野が立ちあがることはなかったが、大野は1球もストライクを取ることができずに、萩原を歩かせた。
一発を浴びたとはいえ、まだ3回と序盤。しかもその後は大野が踏ん張って、九州学院に得点を与えていなかった。それなのに、この安易な四球は首をひねってしまう。
「チーム全体が浮足立っていた」と柳井田主将。先頭打者本塁打が恐怖心として残りすぎたのだろか?
2番山下悠真(2年)が2死覚悟で送ると、その後は3番溝脇隼人(2年)のタイムリーをきっかけに打者一巡。結局この萩原を簡単に歩かせたことが、この回の5点を招いた。そして一挙にコールドへ。
わずか1時間30分しか戦えなかった創成館。「精神面、技術面ともっとレベルアップして、九州学院にリベンジできるようにしたい」と冬場に出直しを誓った柳井田主将。準決勝進出の歓喜以上に、ショックの多い一戦になってしまった。
(文=松倉雄太)