県立美里工業高校(沖縄)
“緑に囲まれた美里工業校舎”
県外遠征で学んだ攻撃型野球
“美里工業高校 神谷監督”
「横浜は色んな仕掛けをしてくるんですよね。相手の弱点を突いてくるといったことを徹底してくる。個々の能力が高いのもあるけど、あの強さはそれだけじゃない。走塁の切り替えしや、各塁のランナーの走路、牽制の仕方、ポジショニングなど、当時の沖縄野球はそういう細かさは無かった。
そういった細かい野球は、神奈川に行くようになってから勉強しましたね。あれは弱者の兵法なんですね。藤嶺藤沢の場合は、足をいかに絡めてゴロで進めるのかとか、正攻法ではなく、奇襲戦法。相手からすると、それに惑わされないような野球をやれればいいんですが、意外とあの野球に引っ掛かってしまう。横浜は王道野球をやりながらも弱いところをついてくる。そういうところはやっぱり徹底されていましたね」
県外とのチームと対戦する中で、神谷監督はそれをどう自身の指導につなげていったのか。
「まず攻撃面では、積極的に走塁のスピードを追及していきました。あとは、やはり打てないとダメ。とにかく積極的に攻めることですね。
結局、攻撃というのは自分で判断しないといけないんですよね。だからそれを養っていく。要するに、この子たちの持ち味をいかに生かすかということになるから、やりたいようにやれと。盗塁にしても、選手自身の判断で行けたら行く、迷ったら行くという練習をしています。そうしたら積極性が出てくるんですね。アウトになるセーフになると自分で体感することができる。
例えば、内野ゴロでも全部突っ込む。それを何回もやっているうちにスタートと判断が良くなるんです。だから、どんどん行きなさい、アウトになってもいいからと言っています。迷っても行かなかったら、一生行けないよと伝えていますね」。
神谷監督おすすめ!クロスフィットトレーニング
“グラウンド横にトレーニングスペースを作った”
その教えの通り、神谷監督がこれまで作り上げてきたチームは、高い攻撃力で常に試合の流れを掴んできた。
「生徒たちも、失敗しても怒られないと思ったら、ビクビクせずに、どんどん行きます。スピード感というのはそこから生まれてくると思います。
そういった思い切りのある走塁もそうですし、バッティングでも初球からどんどん打っていくことが大事。そういった姿勢が、選手としての成長につながると思います」
4月のこの日の練習試合でも、美里工業ナインは果敢に塁を狙い続けた。神谷監督が美里工業に赴任して、ちょうど丸1年。そして監督就任は、4月1日からではあるが、すでに神谷監督の教えはチームに深く浸透していた。
また最近では、「クロスフィット」というトレーニングを練習メニューに取り入れ始めた。
「元々は外国人の海兵隊がやっていたトレーニングで、サーキット形式のもの。体幹が強くなるというのと、回復力が高まるんです。毎日どこかの筋肉をいじめて、15分~30分の短時間で集中して色んな種目をやります。そのメニューは毎日違うんですよ。これをトータルで30分~1時間だけ。週4回のペースでやっています」
このクロスフィットのメリットは、トレーニングに飽きがこないところ。
「仲間と競争的にやるので飽きないというか、嫌にならない。きついけど楽しくなります。水泳のロクテという背泳の世界チャンピオンの選手も、このトレーニングをしていました。これから高校野球界でも広まっていくトレーニングだと思いますよ」
このトレーニングに合わせて、練習後は毎日豆乳の摂取も欠かさない。
取捨選択しながらも、良いものを取り入れ、そこに自身のアレンジを加えながら、選手たちの可能性を高めていく神谷監督。 そんな神谷監督率いる美里工業に、この夏は注目したい。