【小関順二がストップウォッチで有力選手を分析!】仙台育英の個人技が神村学園を圧倒!
仙台育英が神村学園に12対0の大勝。スポーツライター・小関順二氏はどういう視点でこの試合を見ていたのか。ストップウオッチの観点から有力選手を分析します。
仙台育英の個人技が神村学園を圧倒!
仙台育英の個人技が神村学園の誇るディフェンス陣を粉砕した。昨年秋の全国大会、明治神宮大会を優勝しているように1人1人の力は全国レベル。とくに投手・佐藤世那(3年)、捕手・郡司裕也(3年)、遊撃手・平沢大河(3年)、中堅手・青木玲磨(3年)のセンターラインは仙台育英の生命線と言ってよく、この4人が見事に機能した。
まず1回表、1死後に2番青木が右中間に二塁打すると、3番平沢が前進守備の一、二塁間を抜いて先制。2回には6番佐々木良介(3年)、7番紀伊海秀(3年)の連続二塁打でさらに1点を加える。1死後もチャンスが続き、8番谷津航大(3年)が二塁打を放って1点を追加という場面で二塁走者が判断を誤り生還できなかった。それでも1死二、三塁の場面で9番佐藤世がレフトに犠牲フライを打って難なくミスを取り戻す。1人のミスを他の選手がカバーできる選手層の厚さが発揮されたシーンで、仙台育英の強さを際立たせた。
先発・佐藤世は6安打完封したものの相当危なっかしかった。最速144キロを計測したストレートは最後まで威力が落ちなかったが、抜け球が多くコントロールを制御しきれなかった。3点をリードした3回にヒットと四球で2死一、三塁のピンチを迎えるが、ここで神村学園の山本卓弥(3年)が二盗を失敗、これで佐藤世はだいぶ楽になった。
中盤以降も4、7、9回に走者を背負い、そのつど威力を発揮したのが2種類のフォークボール。カウントを取るときは120キロちょっとでシュート回転しながら落ちる球、勝負にいくときは130キロちょっとで縦に落ちる球と使い分け、8つの三振のうち5つが空振りだった。
投げる以外のディフェンス面では一塁に走者を背負ったときのクイックが最速1.08秒と速く、盗塁を許さなかった。山本卓の二盗失敗のときの捕手・郡司の二塁送球タイムは2.46秒とだいぶ遅かったが、それだけ佐藤世のクイックが山本のスタートを妨げたと言ってもいい。
攻撃陣に話を戻そう。1回の先制点の口火となったのは2番青木の三塁打(三塁到達タイム11.97秒)で、タイムリーを放ったのは3番平沢のバット。6回には郡司の内野安打からヒットに相手守備陣のエラーが重なって2点を奪う。7回には2死走者なしの場面から郡司の二塁打がきっかけで1点追加し、8回は青木のライトフライ失策などで大量6点を奪った。おわかりのように多くの得点の場面に絡んだのが最初に「生命線」と書いた“センターライン”の面々だった。キーマンが活躍すれば試合を有利に運ぶのは当然のことである。
反対に神村学園は1番都甲将央(3年)、2番木戸恵二(3年、2安打)、途中出場の北里武臣(3年、2安打)、井原誠(3年)とヒットを記録したのはクリーンアップ以外の面々で、クリーンアップは音無しだった。昨年夏の甲子園大会でホームランを放ち、新チーム結成後も打率5割を記録し、ホームランも1本打っている4番山本が抑えられたことが完封された一番の理由と言っていい。
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仙台育英:佐藤世-郡司
神村学園:北庄司、新里-豊田
三塁打:青木(仙)
二塁打:佐々木良、紀伊3、谷津、郡司(仙)
試合時間:2時間10分
球審:野口 一塁:永井 二塁:スジーワ 三塁:髙田
(文=小関順二)
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