アジアウインターベースボールリーグで活躍を見せた高卒1年目の逸材たち
左から九鬼隆平。細川成也、寺島成輝(寺島の写真は共同通信社提供)
今年のアジアウインターベースボールリーグ(AWB)は、日本からNPBイースタン選抜、NPBウエスタン選抜、JABA選抜の3チームが参戦した。多くの若手選手がキラリと光る活躍を見せてくれた。今回は「高卒1年目」の選手を対象に、来季、飛躍に期待がかかる選手を紹介したい。
投手は寺島成輝(履正社―東京ヤクルト)の活躍が光った。1年目の一軍登板はわずか1試合に終わった寺島。AWBでは、自分の武器である速球主体のピッチングで勝負。常時140キロ前半と突出した球速はなくても、回転数が高く、伸びのあるストレートで対戦チームを圧倒。8試合に登板し、防御率1.17、16奪三振と安定したピッチングを見せた。まだ変化球の精度が課題だが、来シーズンはすべてにおいてレベルアップを果たし、一軍ローテーション争いに加わりたい。
京山 将弥(近江-横浜DeNA)は、4試合に先発し、防御率3.93とやや防御率は高いが、決勝戦のKBO(韓国プロ野球)選抜戦に先発。4.1回を投げ、1失点と首脳陣の期待に応えた。京山の魅力は滑らかな体重移動から繰り出す140キロ前半のストレートとカーブ。この2球種を磨き上げ、いずれは横浜DeNAのローテーション入りすることを期待したい。
リリーフながら、5試合に登板し、防御率0.00を記録した種市 篤暉(八戸工大一 -千葉ロッテ)も、140キロ後半の速球を投げる楽しみな右の速球派だ。
野手では細川 成也(明秀日立-横浜DeNA)は19試合出場して、打率.215ながら、2本塁打、8打点を記録。逆方向へ本塁打を放つパワーや、自慢の強肩で捕殺するパフォーマンスは高卒1年目離れしていた。確実性を課題にする細川にとってAWBで74打席立った経験をどう生かすのか。九鬼隆平(秀岳館―福岡ソフトバンク)は、13試合で打率.256、3盗塁と及第点を与えられる数字。打てて走れる捕手として、さらなるパワーアップを期待だ。
石垣雅海(酒田南‐中日)は2本塁打とも打った瞬間、本塁打と分かる豪快な当たりだった。打率.216だったが、高校時代と比べるとだいぶコンタクト率は高まっている。来年は二軍でどれだけ確実性を高め、コンスタントに長打を打てるかが勝負となる。
投手から野手へ転向した根本薫(霞ヶ浦―オリックス)は、16試合で打率.286、1本塁打、3打点、4盗塁と好成績。バットコントロールの高さ、脚力の高さは十分に勝負できることを証明した。来季はドラフト8位から一軍昇格、そして一軍定着するストーリーを実現できるか注目だ。
プロは1年間、継続的に活躍することが問われる。高卒1年目の選手たちは今年1年、その難しさを実感したはず。限られた選手しか体験できないAWBの経験を糧に、来季、多くの選手がステップアップしたといえる成果を残すことを期待したい。