小郷賢人(関西ー東海大学)「分かっていても空振りする真っ直ぐ」でNPBの日本代表を目指す
今春、5季ぶりに首都大学リーグを制して、全日本大学野球選手権への出場を果たした東海大学。その大きな原動力となったのが、2年生右腕の小郷賢人だ。リーグ戦では、主にリリーフとして11回1/3を投げ、22奪三振・無失点と圧倒的な数字を残し、7月からは大学日本代表として日米大学選手権、ハーレムベースボールウィークのメンバーにも名を連ねている。今回は、日本代表選考合宿の直後に小郷投手にお話しを伺い、3日間の合宿で得たもの、そしてこれまでの球歴について語ってもらった。
全国の舞台を経験して野球の楽しさを実感
日本代表選考合宿では155キロを記録した小郷賢人(関西-東海大)
――日本代表選考合宿お疲れ様でした。まずは合宿中のピッチングを振り返っていかがでしたか?
小郷賢人投手(以下、小郷) 初日は変化球が良くなかったのですが、二日目は自分の中で修正することができました。
――変化球が良くなかったのは、ボール(日米野球の使用球)の影響もありますか?
小郷 そうですね、やはり最初は少し意識してしまうところがありました。それでも、修正できたことは良かったと思います。
――印象に残ったバッターはいましたか?
小郷 高校の先輩でもある逢澤崚介(関西-明治大)さんですね。対戦したときは簡単に打たれてしまい、さすがだなという感じでした。
――合宿にはお兄さん(小郷裕哉・関西-立正大)も参加されていて、直接対決では155キロを記録しましたね。
小郷 やはり意識しました。力が入ってしまって、四球を出してしまいました。
――全日本大学野球選手権では1回戦敗退という結果になりましたが、気持ちの切り替えは上手くできましたか?
小郷 そうですね。悪いイメージは残さずに、良いイメージだけを残して合宿に来ることができたと思います。
――全日本大学野球選手権から学んだことはありましたか?
小郷 すごい選手がたくさんいて、色んな人の良いところを吸収できたので、良い経験ができた思います
――リーグ戦(首都大学リーグ)での優勝も初めての経験だったと思いますが、振り返ってみていかがですか?
小郷 リーグ戦で優勝して、全国大会に出れたことが大きかったです。自分自身、これまで全国大会に出たことが無かったので。初めて出場できて、野球の楽しさがわかりました。
[page_break:理想の投手像は藤川球児投手]理想の投手像は藤川球児投手
日本代表選考合宿では兄弟対決も実現した(左から)小郷裕哉(立正大)と小郷賢人(東海大)
――ここからは球歴についても伺いたいと思います。中学時代はどちらのチームで野球をやっていましたか?
小郷 ファイターズ岡山というヤングリーグのチームでやってました。
――中学時代からずっとピッチャーをしていたのですか?
小郷 最初は兄がピッチャーで、自分はやっていなかったのですが、途中から自分もピッチャーになりました。
――お兄さんとは高校までずっと一緒のチームだったのですか?
小郷 そうですね。小、中、高とずっと一緒で、大学で立正大と東海大で別々になりました。
――大学進学の際は、お兄さんに「立正大に来い」と言われなかったですか?
小郷 いや、言われませんでした(笑)。自分は東海大に行きたかったので。
――東海大を選んだ理由を教えてください。
小郷 全国大会に出たかったので、何年も続けて全国大会に出ている東海大を選びました。レベルの高い環境で、自分を試したい気持ちもあったので。
――東海大野球部に入部にして1年3ヶ月が経ちました。1番成長したところはどんなところですか?
小郷 自分に自信が持てるようになりました。中でも特にコントロールです。昔は四球ばかりだったんですけど、取りたいときにしっかりとストライクを取れるようになりました。そこが1番成長したと思います。
――日本代表の生田勉監督はリリーフや抑えとしての活躍を期待されているようですが。
小郷 そうですね、自分としてもリリーフとして活躍したいと思っています。
――理想としているプロ野球選手はいますか?
小郷 藤川球児投手です。今の持ち味はスライダーですが、やっぱり真っ直ぐで押していける投手になりたいです。
ただ、今回の選考会では真っ直ぐはあまり通用しなかったので、課題にもなりました。分かっていても、空振りするような真っ直ぐを投げたいなと思っています。
――将来的な目標も教えてください。
小郷 プロ野球選手になって、最終的にはプロ野球の日本代表に選ばれたいと思っています。
――ありがとうごいます。それでは最後に、大学日本代表での意気込みをお願いします。
小郷 自分の持ち味をしっかりと出して、チームが勝てるように頑張ります。
インタビュー中は、一つ一つの質問に笑顔で丁寧に答えてくれた小郷投手。それでも課題を口にする時の眼差しからは、自身が目標に掲げる藤川球児投手のような、熱い情熱が感じられた。名門を引っ張る2年生右腕の挑戦は、まだまだ始まったばかりだ。
文=栗崎祐太朗