ホームランだけではなく、勝利のために局面に応じた打撃を 渡邉 翔大(昌平)【後編】
2年秋の県大会前に高校通算35本塁打を放っているスラッガー・渡邉翔大。さらなるレベルアップへ向けて、打撃改造を行っていることを明かした。
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鮮烈デビューから1年。埼玉を代表するスラッガー・渡邉 翔大(昌平)が目指す道【前編】
渡邉が明かす打撃改造
渡邉 翔大(昌平)
――打撃フォームを固める最中の渡邉選手に動作の解説を交えながら語っていただきたいと思います。まず、タイミングの取り方を課題にしていると話していただきましたが、どういうところを意識していますか?
渡邉 正直、タイミングについて今でも試行錯誤をしているんですけど、右足を「の」の字を描くようにタイミングを取っています。
――その足の挙げ方に行きついたきっかけは何でしょうか。
渡邉 自分は「の」の字で試したことがなくて、ずっと引き足だったり、足を上げたりだったんですけど、それでもなかなかつかみきれなかったんです。
――以前の足の挙げ方だと、何がうまくできなかったですか?
渡邉 単純に感覚が合わなかったですね。悪くはないんですけど、確率が上がらなかったですね。高い確率を求める中で、「の」の字でタイミングを取ることも試してみようと思いました。
――実際に行ってみていかがでしょうか。
渡邉 今はいいですね。タイミングが合わせられやすいですね。
――技術的なことだと、「の」の字に合わせることで低めに合わせられやすいというのはあるのでしょうか
渡邉 自分の場合、この打ち方だと「間」を長く持てるので、ボールが良く見えるので、プラスになることが多いですね。
――そうなると渡邉選手はタイミングを取るうえで、足の使い方を重要視していることが良くわかりました。
渡邉 そうですね。自分は足で取るタイプですね。手でタイミングを取る方もいると思うんですけど、自分は足の動きから合わせるタイプだと思います。
――そうなると理想的な打ち方にするために渡邉選手は自分の打撃フォームを撮影をしてもらうことはありますか。
渡邉 撮ってもらっています。マネージャーから撮ってもらいますし、撮影してもらったものを自分の携帯に送ってもらうこともありますね。
――そういう意味では取材日のシート打撃ではプロ志望届を提出した米山魁乙(3年)投手から二塁打を打ちました。振り返っていかがですか。
渡邉 米山さんのボールは怖いんですけど、4球みた後からなので、打たないといけないと思います。
振り返ると、内側のボールが低めにきたのですが、それをしっかりと振り抜けたのは良かったと思います。
ホームランではなく、チームのための一打を
渡邉 翔大(昌平)
ここまでの打撃改造内容を明かした渡邉。これまでの成長について黒坂監督はこう明かす。
「中学生の時から上半身の強さは感じられましたが、タイミングの取り方に硬さがあって、今のままでは苦労すると本人に伝えました。入学した当初もずっと上半身で打ちにいく傾向がありました。下半身でタイミングを取れるようになったのは、体を絞って、走れる体になったことが大きいですね。脚力がだいぶついて、純粋に足が速くなりましたから。
足が使えることになったことで、下半身主導の打撃ができるようになったと思います。まだまだ良くなると思います」
選抜を目指して、2年秋の県大会では準々決勝に終わり、3試合では1本も長打が打てず、悔しい内容となった。それでも、渡邉は打撃の追求を続ける。
「ホームランのこだわりは捨てました。ここまで来たら、高校通算50本塁打を打てればいいと思っていますが、まずはチームの勝利が大事だと思っています。ホームラン、長打だけではなくて、変化球に対応する打撃、逆方向への対応、膝を使った打撃など幅が広い打撃をしたいと思っています。
今では最近はバントしてもいいと思いますし、チームのためにその場面にあった打撃ができればいいと思います」
惜しい負けはもういらない。大事な仲間と一緒に甲子園にいくために、チームの勝利に導く一打を見せるために渡邉翔大は壁を乗り越え、最後の1年を飛躍の1年とする。
(取材=河嶋 宗一)