「今年の3年生だから伝えられることも」福岡の公立校・香椎を取り巻く現在
香椎高校・杉野弘英監督
20日の夏の甲子園の開催中止を受けて、連日各都道府県では独自の大会が開催できないか。その議論が飛び交っている中だが、福岡県では25日に独自の大会を開催しないことを発表した。まだ部活動も再開できていないチームもいたが、福岡地区に入る香椎もその中の1つだ。
25日は分散登校だったため、翌日の26日に選手たちを集めて杉野弘英監督はミーティングを開いた。その前に杉野監督は主将と話をしたが、独自の大会を開催しないことは大きなダメージを与えていた。
「20日の甲子園中止の時は、『自粛期間が長く、多くの大会が中止となっていたので覚悟はしていました。ただ、仲間が財産として残っていますし、高校野球を通じて人間的に成長が出来た』と主将は話してくれたので少し安心していました。ただ、25日の時は『あるものだと思っていました』と言ってきましたね」
杉野監督自らも涙を流しながら話をしたが、選手たちの中では顔を上げられず、うつむ選手もいたと振り返った。甲子園が中止となったときは、常日頃から伝えてきた「高校野球を通じて得たことをどうやって生かすかが大事」という言葉を理解していた選手たちを見て、「代替大会の発表を待とう」と前向きな姿勢を作ることができた。
しかし25日の結果はチーム全体に大きな影響を及ぼした。それでも杉野監督は選手たちへメッセージを送った。
「今年の3年生だからこそ下級生たちに伝えられることもある。それを残してほしいし、今回のことが成長に繋がるはずだから、あと1か月一緒にやろう」
香椎は28日にミーティングを開き、29日から本格的に部活動が再開している。杉野監督率いる香椎はこの夏をどのように過ごすのか。
(取材:田中 裕毅)
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