ユニホーム統一しない、体操服・運動靴でもOK!特殊なルールの初代少年野球大会が閉幕
参加者と箕面自由学園、そして佐藤輝明選手の記念撮影
12月10日より甲子園球場で開催されていたMIZUNO DREAM CUP Junior Tournament FINALラウンド(以下、ドリームカップ)。11日は準決勝2試合、そして決勝戦の計3試合が行われ、地元・兵庫の北ナニワハヤテタイガースが宇土ブルーナインを下して、初代王者に輝いた。
準決勝は、延長戦までもつれる接戦の末に勝利した北ナニワハヤテタイガース。そしてコールドで勝利した宇土ブルーナインがそれぞれ決勝戦に進んだ。
決勝は2回に北ナニワハヤテタイガースが先制すると、3回には馬野豊心の左翼頭上を越えていくランニングホームランで3点を追加。序盤で主導権を握ると、強打が光っていた宇土ブルーナインに反撃を許さず、北ナニワハヤテタイガースが優勝を飾り、歓喜の輪を作った。
スポーツメーカー・ミズノ株式会社が主催となって開かれた今大会。他の大会と違うのは、5つの約束事を作ったことだ。
その中の1つとして「みんなが主役!1人も多くの選手が試合に出よう」ということで、リエントリー制を採用。ベスト4まで勝ち残ったガッツ少年野球クラブは準決勝で活用した。チームを指揮する泉野監督は、「1人でも多く甲子園でプレーできるのはいいことだと思います」と、大会ルールに採用したことに賛同の声を挙げていた。
ガッツ少年野球クラブの倉田理玖
また約束事の1つである「気軽に参加しよう!体操服・運動靴でもOK」ということで、ユニホームは統一しなくてもベンチ入りすることができることになっている。
今大会でベスト4に勝ち残ったPRIDE JAPAN選抜は、まさに体現したようなチームだ。連合チームとなっており、ヘルメットなどは統一されていなかった。それでも大会ルールでは承認され、見事4強入りを果たした。指揮官・加藤監督は「ミズノだったから、今回のようなこれまでにない新しい形で開催できたと思います」と主催社への感謝の言葉を語った。
宇土ブルーナインの主将・新町颯介
そして最も大事だったのは、テーマである「ミスを怒らず、みんなで助け合う」ということだ。北ナニワハヤテタイガースの指揮官・北嶋監督はテーマに乗っ取って怒らないように、「話し方は気を付けました」という。慣れないところもあったようだが、「いい意味で選手との壁がなくなり、距離が近づいたことで細かな指導ができた」と新たな気づきもあった。
一方の選手たちとっては初めての甲子園で、また来られるとは限らない。後にも先にも貴重な経験だが、今後の糧にしている選手が多かった。
準決勝でランニングホームランを打ったガッツ少年野球クラブの倉田理玖も「甲子園でプレーできる小学生は少ないと思いますが、また来たいです」と甲子園でプレーできた価値の大きさを理解しつつ、また戻ってくることを誓っていた。準優勝の宇土ブルーナインの主将・新町颯介も「どんな球でも打てるようなバッターになって戻ってきたい」と成長して帰ってくることを宣言していた。
そして多かったのは「野球がもっと楽しくなった」という言葉だ。
優勝した北ナニワハヤテタイガースの主将・齋藤万紘は、甲子園でプロ野球を生観戦したことがあったそうで、「特別な場所で、いつかここで活躍したい」と思い描いていたという。しかし今回の優勝をきっかけに「もっと好きになりましたし、高校では三拍子そろった選手になって優勝したい」と、将来の夢が大きくなったようだ。
北ナニワハヤテタイガースの主将・齋藤万紘
閉会式には特別ベストとして、阪神・佐藤 輝明内野手(仁川学院出身)も参加。記念撮影や、ホームランチャレンジで軟式ながら2本のホームランを入れるなどで球場を沸かせると、最後に「今日をきっかけにもっと野球を楽しんで、一緒にプレーできるのを楽しみにしています」と子どもたちへメッセージを送った。
競技人口の減少が問題視される野球界にとって、裾野を広げることはもちろん、継続してもらうことも大事な課題だ。今回をきっかけに、出場選手たちが一層野球にのめり込んでくれれば、野球界の未来は明るいだろう。2023年に向けて大会のエントリーは既に公式ページにて開始している模様。次の大会ではどんな未来の高校球児たちが野球の魅力にもっとハマっていくのか。これからも大会の行方に注目し続けていきたい。