試合レポート

二松学舎大付vs都立片倉

2011.04.09

二松学舎大付vs都立片倉 | 高校野球ドットコム

鈴木誠也(二松学舎大付)

速球が課題の147キロ右腕

二松学舎大付vs都立片倉 | 高校野球ドットコム

この試合の注目は二松学舎大付のエース鈴木 誠也(右/右 180センチ80キロ)だろう。
2年生ながら速球のマックスは147キロに到達する。堂々たる体格から投げ込む速球の威力に筋の良さを感じる。
偵察していた部員のガンでは常時130キロ後半~140キロ中盤でマックス147キロを計測したようだ。
彼のスピード能力は嘘偽りないことを証明してくれた。
しかしこの試合では二桁安打を打たれた。その殆どがストレートである。スピード能力はあっても、いわゆるスピード表示ほど来ていないと表現してもいい。都立片倉打線に打ち込まれたのはストレートが低めに集まらないことに尽きる。140キロを計測していたのは高めのストレートでそれ以外の低めのストレートは140キロも出ていないのではないかと予想される。投球フォームもバランスの良いフォームに見えるが、軸足が後ろに残り、踏み込み足の膝が突っ張るので、うまく体重移動できない。そのため高めにすっぽ抜けたり、逆球になったりと思うようにコントロールできていない原因になっている。

ストレートが走らない。しかしならば変化球でかわしていくしかない。
変化球はスライダー、カーブ、チェンジアップ、ツーシームと実に多彩だ。要所でカーブ、チェンジアップを駆使して三振を奪うことができており、もしこの変化球がなければ更に苦しんでいる試合であったことは間違いない。
マックス147キロが話題になりそうだが、むしろスピードよりも総合力の高さが光る。
この試合に勝利できたのも総合力の高さがあったからこそ。横なぶりの雨が降る中で自分の投球をするのは大変だったと思うが、その中で勝利できたのは彼にとって大きな経験になったはずだ。

今後、低めのストレートのコントロールとキレが増してきたとき、どんな投手になっているのか非常に楽しみな選手である。
分かっていても打ち返せないストレートを投げている鈴木を見てみたい。


二松学舎大付vs都立片倉 | 高校野球ドットコム

山岸育

二松学舎大付vs都立片倉 | 高校野球ドットコム

スローイングタイム1.9秒台を誇る山岸育をピックアップ。
イニング間から投げるスローイングは地肩の強さを感じさせる代物。スローイングタイムは1.90秒をコンスタントに計測し、地肩の強さを存分に見せつけた。
鈴木投手のクイックが1.2秒前後とすると3.1秒~3.2秒以内でランナーは盗塁を決めなければならない。それだけ「脅威の肩」である。
ただ時折単調になるリード面と打席での何に球種を絞って入っているのかが見えなかった点が残念。
捕手というポジションは考える環境は他の野手以上にある。
素晴らしい強肩があるだけに、もう少し捕手の利点を活かし視野を広くしてプレーいくと更にプレイヤーとして幅が出てきそうだ。

鈴木から二桁安打を放った都立片倉打線。
その中で光ったのは三塁手の沖辺 和寛(右/左 171センチ59キロ)。

鈴木から3安打を記録した。まず外角のストレートをセンター前ヒット、そして第2打席はストレートをレフト前へ流し返し、第3打席は低めに落ちるチェンジアップをバックハンドのように打ち返し、ライト前に打ち返した。
スタンスはスクエアスタンスでグリップを高めに置いて上から叩きつける打撃を身上とする。三塁の守備も安定しており、攻守にバランスが取れたプレーヤーだ。

(文=編集部:河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.07

【8日登場の逸材一覧】大分の県立校に現れた148キロ右腕、U-18代表候補の右腕が登場! 

2024.07.07

ノーシード広島商が「逆襲」へ好スタート、尾道商、尾道東も0封ゲーム【2024夏の甲子園】

2024.07.07

茨城では日立商がサヨナラで初戦突破、連合チームが逆転勝ち【2024夏の甲子園】

2024.07.07

帝京長岡、日本文理は快勝発進、東京学館新潟は劇的サヨナラ勝ち、六日町は初戦敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.07

シード校の相手が決定、東海大相模、慶應義塾の相手は?8日の神奈川【2024夏の甲子園】

2024.07.05

白山高元監督の“下剋上球児”再現はあるのか!? センバツ1勝の宇治山田商、2年生集団で東海大会準優勝の菰野など各ブロックの見所を紹介【2024夏・三重大会展望】

2024.07.07

【8日登場の逸材一覧】大分の県立校に現れた148キロ右腕、U-18代表候補の右腕が登場! 

2024.07.07

ノーシード広島商が「逆襲」へ好スタート、尾道商、尾道東も0封ゲーム【2024夏の甲子園】

2024.07.05

春連覇した加藤学園は悲観達成を狙う! 静岡、日大三島、藤枝明誠、プロ注右腕・小船を擁する知徳らが行く手を阻む!?【2024夏・静岡大会展望】

2024.07.07

茨城では日立商がサヨナラで初戦突破、連合チームが逆転勝ち【2024夏の甲子園】

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!