東北工業大vs宮城教育大
東北工業大、春で引退の4年生6人が躍動し連勝フィニッシュ!
引退試合で3安打4打点と活躍した東北工業大・菅原蓮
<仙台六大学春季リーグ:東北工業大10-2宮城教育大>◇21日◇第7節2回戦◇東北福祉大
東北工業大は最終節で宮城教育大に連勝。0対2で迎えた5回に打線がつながり5点を奪うと、その後も着実に加点し、終わってみれば10対2と快勝した。勝ち点を2に伸ばし、4位が確定。昨年は春秋ともに最下位(春は宮城教育大と同率)に沈む屈辱を味わっただけに、飛躍を印象づけるシーズンとなった。
最終戦には、今春で引退する4年生6人全員が出場。西 謙人内野手(4年=名取北)は「2番・遊撃」、高橋 享佑外野手(4年=柴田)は「4番・右翼」、菅原 蓮内野手(4年=仙台商)は「6番・二塁」、須賀 頼寿投手(4年=秋田修英)は投手で先発出場、赤間 颯太捕手(4年=仙台商)、角田 優介投手(4年=聖和学園)は途中出場し、それぞれが野球人生最後の“真剣勝負”を戦った。
菅原は5回に逆転の2点適時二塁打、9回にダメ押しの2点適時打を放ち、3安打4打点をマーク。試合後、「打席に立っている時、ベンチからチームメート全員の声が聞こえてきた。その中で最後に打てたのは素直に嬉しい」と声を弾ませた。今春は最終節を残した時点で打率1割台と苦しんでいたが、最終節は1回戦でも適時打含む2安打を放っており、まさに有終の美を飾った。
4つ上の兄の影響で、幼稚園生の頃からバットと球を触っていた。20年近く白球を追い続け、大学で一区切り。「寂しいですね…」とこぼしつつ、「ベンチも一つになって、楽しく野球ができた。最後に悔いなく終えられたので、嬉しい気持ちの方が大きいです」と胸の内を明かした。
大学では、東北福祉大や仙台大のプロ野球へ進むような選手とも対戦した。菅原にとっては貴重な経験だったといい、「まだまだ先の話なんですけど、もし息子ができたら、その時は『同じフィールドで戦っていたんだよ』と自慢できるんじゃないかと思う」と笑う。かけがえのない大学4年間を、未来へつなげるつもりだ。
2番を打った西は、第1打席でリーグ戦初安打を記録した。昨秋デビューするも1打数無安打。今春は前の試合まで出場機会がなく、この安打が最初で最後の安打となった。遊撃手を強襲する安打で、Hランプが灯った際にはベンチ、スタンドから歓声が湧いた。「たくさん声が聞こえてきた。良いチームメートと一緒に野球ができてよかった」と感慨深げに振り返る。
先頭打者として打席に立った5回には逆転のきっかけとなる四球を選ぶなど、勝利にも貢献した。「悔しいこと、つらいことの方が多い4年間だったんですけど、最後にチャンスをもらって、自分のできることはやれたと思う」。そう語る表情は充実感に満ちあふれていた。
菅原、西以外の4人も躍動。高橋は4番に座って5度出塁し、赤間は適時打と好リードでチームを勝利に導いた。先発の須賀は1回を最少失点に抑え、3番手でマウンドに上がった角田は140キロの直球を放った。6人の思いは、秋も継続する同期と後輩たちに受け継がれる。一夏を越え、さらに強くなった「工大」が見られるはずだ。
(取材=川浪 康太郎)