神村学園vs川内
川内打線を4安打完封した神村・平藪
左腕・平藪、三塁踏ませず14奪三振
神村学園の先発左腕・平藪樹一郎が、面目躍如の投球をした。126球、川内打線を散発4安打、14奪三振、三塁を踏ませない圧巻の完封劇だった。
低めへの制球と、チェンジアップ、スライダーのキレがこの日は抜群。ワンバウンドする明らかなボール球でも、鹿児島川内の打者が空振りするシーンが何度かあった。
「腕がしっかり振れていて、直球と同じ腕の振りをしているから打者も直球と思って振っていた。右打者の内角のボールに手が出なかった」と鹿児島川内・佐々木貞明監督は脱帽した。
約1カ月前の九州大会の決勝で最高の投球を披露してからは、再び調子を崩して、直球が120キロしか出ない時期もあったが、この日は最速139キロ計測し、本来の切れ味を取り戻しつつある。
またワンバウンドの投球も多かった中で、暴投、捕逸を一度も記録しなかった捕手・中野大介の捕球技術にも拍手を送りたい。
得点こそ挙げられなかったが、鹿児島川内にとっても「収穫はあった」と佐々木監督。14三振は「見極めて振らないのではなく、あえて振っていかせた結果」と分析。来たる夏に、神村学園と当たることを考えた上で、狙い球をどう絞っていくか、どんなタイミングで盗塁やエンドランなどを仕掛けるかなど、貴重な体験ができた。
何より先発の藤井盛史が八回まで投げて、10安打されながら3失点でしのげたのは大きかった。1年生捕手の川畑大樹が二盗を阻止したり、バントシフトで二塁併殺を成立させるなど、神村学園に思い通りの攻撃をさせなかった。
昨秋は4強入りしたが、今春はシード校でありながら初戦で鹿屋工にコールド負け。その後の練習試合でもなかなか結果は出せなかったが、今大会は初戦で薩摩中央にコールド勝ちし、この日も神村学園と思い切り戦えたことで、佐々木監督は「ひと頃のどん底からは脱したと思う」と話していた。
(文=政純一郎)